長澤まさみの魅力は、時代を追うごとに増していく【てれびのスキマ】

2023/07/01 08:00 配信

芸能一般 コラム

長澤まさみ※2023年ザテレビジョン撮影

男女ともから憧れられるヒロインに

そして、もうひとつの転機となったのが、やはり大根仁監督と11年ぶりにタッグを組んだ「エルピス―」だ。渡辺あやが脚本を担当し、主演の長澤に用意されたのは、「路上キス写真」を週刊誌に撮られたことでエースアナウンサーの座から降ろされ、深夜のバラエティ番組でくすぶっている女性の役。彼女が冤罪事件に立ち向かっていく姿が凛々しく描かれた。

長澤は、その人物像について「立ち止まっていて、自分の中で何かくすぶってるものを持っている。上手く行かず、長いものに巻かれて自分の意志がないようにも見える状態だと思います。でも根本的にはとてもまっすぐで単純な人でもあるんだろうなとも感じていて、自分の求めることややりたいことに対して正直に生きているんですよね。なので根本には何かを持っているけど、今は悩みながら立ち止まっているような人」(「モデルプレス」2022年10月22日)と分析。

当て書き故、「やっぱり脚本家の方には色々と透けて見えちゃうんだなと思ったくらい共感することが多かった」(同)と話している。男社会の中でたくましく、時に弱さを見せながらも奮闘する彼女の姿に、女性視聴者からも大きな共感が寄せられた。

冒頭の挨拶の後に、大根は「次は40代の一番美しい華やかな長澤まさみを撮りたい」と続けている。いまや男女ともから憧れられるヒロインになった長澤まさみ。時代を追うごとに魅力を増す彼女の可能性は果てしない。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2023年8月号