――信康の生涯についてはどのように感じますか?
この時代に生まれてほしくなかったなと思います。強さを求められる時代に生まれてしまったからこそ、信康は時代にのまれてしまって。その姿を最初から最後まで見てきた身としては、未だに辛さを感じます。もっと平和な時代だったらよかったのにとか、もしあの事件がなかったらどんな生涯を送っていたのだろうかとか。あまりにも早すぎる年齢で亡くなったので、何かが違ってもう少し長く生きていたらどれだけよかったかと思います。
――戦国時代の衣装をまとった感想をお聞かせください。
僕は、どの役でも衣装を着ることで落ち着く感覚があります。今回もそれは変わらず、衣装を着ることで信康としてのスイッチが入りました。また、僕は剣道をやっていたので、剣を持つことにあまり抵抗がなかったですし、周囲から「和服が似合っている」と言っていただけて安心しました。ただ、よろいをつけた状態でのアクションはとても重く、動ける範囲が狭まるので難しかったです。
――第23回で瀬名のはかりごとを聞くシーンがありましたが、信康はどのような心情だったと感じましたか?
瀬名さんとのシーンは、僧を殺めてしまった後だったということもあり、精神的に一番落ちていた時期だったと思います。信康は、人を殺したくて殺している訳ではなく、何とか人を殺めないですむやり方はないかと考えていた人物だと思います。心の優しい人だからこそ、時代にのまれてしまったのかなと感じました。
はかりごとを聞いた時は驚いたと思います。母が裏でそんなことをやっていることも知らなかっただろうし、家康さんと一緒で、瀬名さんはそういったはかりごとをするような人ではないと思っていたと思います。ただ、信康は瀬名さんの人としての賢さみたいなものをちゃんと受け継いでいると思うので、驚きはしたけど否定はなかったと思います。
――印象に残っているシーンを教えてください。
先ほどお話しした五徳さんとの別れのシーンと、信康の最期です。信康の最期のシーンの撮影は、リハーサルから覚悟できていて、焦ることもなかったです。監督も「何回もやるシーンではない」と言ってくださいました。異様に空気が熱くて、熱量の高いシーンだなと演じていて思いました。
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