デビュー50周年、さだまさしが語るライブ論「ステージがなかったら、ここまで生きてくるのは大変だった」

「“さだまさし”を楽しむ」姿勢でドラマやラジオにも挑戦

さだまさし撮影=友野雄


──また昨年は朝ドラ「舞いあがれ!」のナレーションや、「石子と羽男」で初の連ドラレギュラー出演もされるなど、さらに新たなフィールドにチャレンジしていく姿も印象的です。

「挑戦している」という気持ちはあんまりないんですけどね。僕のファンが喜んでくれるからやっているだけで。「カムカムエヴリバディ」は番組側から「こんなのできませんかね?」というオファーがあって、スタッフが「面白いからやったほうがいいよ」なんて言うからやってみて。そしたら、それが終わる頃に「石子と羽男」の話が来て。スタッフが「ここまできたらやりましょう」って言うんだよ。しかも「『さださんのままでいいんで』っていう話ですよ」って言うもんだから「じゃあやるかね」って。そしたら今度は「舞いあがれ!」のナレーションの話が来て。ずっと「主題歌じゃないのかよ!(笑)」って言いながら、お手伝いをさせていただいたという感じでした。それぞれ、ファンの人や番組のスタッフが喜んでくれたからよかったね。

──「挑戦した」という気持ちはないとのことですが、連ドラ出演など新たなフィールドに進出することで得たものはありますか?

あんまりないね(笑)。でも、あるとしたら「“さだまさし”を楽しむ」ということかな。音楽もテレビも楽しむには、僕自身が“さだまさし”を楽しむのがいいのかなと思って。「さだまさし」を遊ぶ1つとして、去年の10月からは深夜ラジオを始めたんですよ(「1時の鬼の魔酔い」)。最初は東海ラジオローカルの深夜放送としてスタートしたんだけど、どんどん放送局が増えて、放送時間も局によって様々なんだけど、内容は深夜放送で。堅いせんべいを紹介したことをきっかけに、“全国堅いものコンテスト”が始まったり(笑)。「何、この番組!?」という感じですよね。でもこれが自分でさだまさしを楽しむコツなんですよ。みんなばっかりさだまさしを楽しんでいるのは悔しいから、俺も楽しまなきゃって。そうやって自分が楽しんでいればみんなも楽しんでくれるし、僕が楽しんでいないとステージも面白くならないからね。

■取材・文/小林千絵
撮影/友野雄

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