――記憶に残るターニングポイントはありますか?
「去年よりも今年の方がいろんなことに出会ったな」っていうのが20年続いた感じです。
“大きく変わった”と思ったのは朝ドラ(2010年のNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」)をやっていた時だったんですけど、つらいと思ったことは20年間で一度もなくて、幸せなことだなと思いますね。
――朝ドラのヒロインは体力的に厳しいとか、寝られないという話も聞きますが。
いっぱい寝てました(笑)。もちろん朝ドラには体力的なハードさはありますし、精神的にもどこかで「私がやらなきゃ」って思ってたところはあるのかもしれません。
でも、当時は“学校に通っている感覚”だったんです。毎日学校に行って、授業を夜まで受けて、帰って復習・予習して…っていう感覚でやっていたので。現場が好きすぎて、撮休の日にまで現場に行ったりしていました。
それが日常だったことを考えると、あの朝ドラを乗り越えたから今多少のことでも苦じゃない、という思いはありますね。
――幼少期からピアノをやられていたから、集中力や継続力が身についているのかもしれないですね。
そうですね、ルーティーンがすごく小さい時からいろいろあったので、「何かを続けなきゃいけない、続けよう」っていう感覚はどこかにずっとあったのかもしれないです。
――演技と音楽のお仕事があって、ご自身の中でバランスはどのように?
昔の方が二つのことをやるっていうことに、自分がすごくこだわっていたんだと思うんですよね。今日は音楽、今日は演技、“50・50”にしなければ、とどこか考えていたところがあったんですけど、結果的に自分を締めつけている感じがして。10年ぐらい前を境に、“今日は音楽の現場だから…”とか、まったく考えなくなりました。
――そういう考え方に至ったきっかけは?
朝ドラの後、あらためて音楽でライブやツアーをやらせていただいた時に、ライブ中にお客さんの表情が見えて「ああ、私はこういうことをやっていきたいんだ」って思えた瞬間があったんです。
女優の仕事も音楽の仕事も私が表現してることで、それを言葉に乗せるのか、音楽に乗せるのか、それだけの違いなんだなっていうことに気付いて、そこからですね。
とはいえ、演技と音楽、両方やることで保っているっていう側面は常にありますね。どちらも補うためにやっているということでもなく、今は“両方120%でやってる”っていう感じです。20年たってようやく、そういう自分の中でのルールが確立できたかなと思っています。
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