10年前、突然の別れがやってきた。「八重をよろしく」というメッセージが健斗から送られてきて、電話をかけるが電波が届かず繋がらない。健斗は引っ越してシンガポールに行ってしまったようだ。もう一つ、匠はメッセージを受け取っていた。「お姫さまにしてやって」というメッセージを。匠の恋心を八重は気づいてないが、健斗はそれを分かっていた。
健斗の残したメッセージによって、匠の中のスイッチが入ったのも確か。いろんな波がありながらも奮起して一級建築士の資格を取り、自分の会社を立ち上げるまで頑張った。健斗には“手ぶらでは勝てない”と分かっていたからこそ、しっかりと形にしたかったという気持ちが痛いほどよく分かる。
かつて健斗に「やめた方がいいと思うよ、そういうの。好きでもない子と付き合うの。ちゃんと好きな子と付き合いなよ」と言われた匠。「無理だ」と答えると、健斗は「好きな子がいないから無理?いるけど無理?」と詰め寄る。動揺が隠せない匠の様子を見て「ふ〜ん、いるんだ」と察し、「いるとか? 好きな子には好きなヤツ」と追い打ちをかけた。
その後の会話のやり取りに、健斗の鋭さを感じた。“相手に勝てる気がしない”からじゃなく、“八重を悩ませたくない”んじゃないか、と、匠の性格をすごく分かっているのが伝わってきた。
続けて健斗は“死んだ後で見せられる箱の話”を匠にする。「生きてる間ビビったり、最初から諦めたり、怠けて掴もうともしなかった、本当は手に入れられるはずだった物が入った箱を見せられる」という教訓めいた話だったが、これもまた痛いところを突かれたからこそ、今でも覚えているのだろう。
健斗が登場したのは回想シーンのみ。もし、今のシーンに登場したら、匠にどんな言葉をかけるのだろうか。2人に共通する幼なじみだけに、今後登場するのかどうかも楽しみにしたい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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