人里離れた一軒家には不便さをこえる良さがある「ポツンと一軒家」/いつもテレビをみています#14

「ポツンと一軒家」イラスト=渡辺裕子

テレビ大好きイラストレーター・渡辺裕子さんが、お気に入りの番組をかわいいイラストで紹介する連載「いつもテレビをみています」。第14回は「ポツンと一軒家」(毎週日曜夜7:58-、ABCテレビ)をチョイス。

人里離れた一軒家には不便さをこえる良さがある


初めて訪れた場所でも、スマホとGoogleマップがあれば、目的地にたどりつける。これがなかった頃、どうやって移動していたのかもう思い出せなくなっている便利なGoogleマップ、外出先での道案内に使うだけでなく、ストリートビュー機能を使って、はるか遠い街の路地を歩いているような遊びをすることもあります。拡大と縮小を繰り返しているうちに、時々、他の民家から離れたところに一軒だけ家があるのを見つけて、こんなところで暮らすのはどんな気分なんだろう、寂しくないのかな?と想像したりもします。そんな、人里離れた暮らしぶりをちょっと覗かせてほしいという気持ちにこたえてくれる番組が「ポツンと一軒家」です。

いわゆる「街」に住んでいれば、欲しいものはいつでもネットで注文できて、早ければ翌日宅配される。歩いてすぐコンビニがあって24時間買い物ができる。けれど衛星写真を元にスタッフがたどりついた一軒家に住む人たちの毎日は、そんな便利な生活とは大違い。水は湧き水や井戸までくみに行くとか、買い物ができる店があるところまでは、細い山道とか。なんでこんなに不便なところにわざわざ住むのかと思いますが、その不便さをこえる良さが、それぞれの一軒家にあることが、住人たちの話で見えてくる。美しい景観、人のいない静けさ、自分たちで育てるおいしそうな野菜、そして家にまつわるたくさんの思い出など。

何もないようでなんでもある…その「豊かさ」がうらやましい


周りに自然以外何もない、聞こえてくるのは風の音や鳥の声だけ。今手元にあるもので工夫して、困った時は周りの誰かと助けあう暮らし。あふれる物質や、人の言葉や情報の海でおぼれそうになっている身として、一軒家の人たちの生き方に、いろいろ考えさせられます。何もないようでなんでもある、ひとりではあるけれど孤独ではない、みなさんの「豊かさ」がうらやましい……などと言いながら、コンビニで買ってきたごはんをレンジでチンして食べながらテレビでその暮らしを見ているのも、矛盾しているんですけどね。

■イラスト・文/渡辺裕子

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