乃木の予想どおり、公安・野崎は乃木を疑っていて、経歴を洗い直していた。その中で気づいたのが“高校”。経歴ではアメリカの公立ロンガリー高校に通っていたことになっていたが、その学校には在籍しておらず、同じ“ロンガリー”という名前の私立校に日本人留学生が在籍していたことが分かった。
調べてくれたFBIのキースからその留学生の写真を送ってもらうと、名前は違うが目元で乃木本人だと分かった。しかも、その学校は厳格なミリタリースクールで、全科目首席で卒業していた。
学術、射撃、格闘技、サイバーセキュリティーなど、すべてトップの成績表を見て、野崎は乃木が“別班”であるという疑いを濃くした。
野崎は乃木が“別班”であることはほぼ間違いないと思っていたが、不可解なのがバルカでの乃木の行動。自爆しようとするザイールを前に何もせず、野崎が助けなければ爆死していたはず。それに、ドラム(富栄ドラム)が盗聴器を仕掛けたことにも気づいていなかった。「あまりにもレベルが低すぎる」と、乃木が別班であることを確信するには至らなかった。
そこで確信を得るため、野崎はバルカ共和国へ。そして、バルカ警察のチンギスを味方に付け、乃木のことを探り始める。野崎は爆破があった場所に戻り、その時に隠し持っていたカメラを見つけた。バルカの軍に依頼し、その映像を復元してもらうと、そこには乃木の驚くべき行動が記録されていた。乃木は、野崎が発砲したのとほぼ同時に自身も発砲していたのだ。
ドラムが乃木に盗聴器を仕掛けた時の防犯カメラでも、盗聴器に気づきながらもわざと付けたままにしておいた乃木の姿が映っていた。
一方、乃木と黒須の会話の中でも、いろいろなことが明らかに。アリのスマホにGPS発信機を仕込んだり、スマホをすり替えたり、公安の野崎の存在を知っていたり。いつでも逃げられたが、身元を知られていたので共に行動したとも明かしている。
乃木が“別班”だと確信した野崎は日本に帰国し、幼少期の乃木のことを探りを入れた。3歳で両親と死別し、その後は京都府舞鶴市で“丹後隼人”という名前で生活していた。乃木は児童養護施設にいたことが分かり、その施設を訪れると、乃木は幼い頃にバルカで人身売買され、それを見かねた戦場ジャーナリストが強引に連れ出し、舞鶴に来たという。
さらに、記憶の一部を失っていたこと、成績が優秀だったこと、高校の時にパスポートの更新で施設を訪れた時にテレビで見た乃木家の家紋に見覚えがあり、乃木の実家のある島根を訪れたことなども分かった。
島根を訪れた野崎は、乃木家を訪れ、その中で乃木家の家紋が“テント”の掲げるマークと同じだということに辿り着いた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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