米林宏昌監督による、スタジオポノック第1回長編映画作品「メアリと魔女の花」が公開されてから1週間余り。初週の興行収入ランキングでは惜しくも2位にとどまったものの、米林監督が古巣・スタジオジブリで最後に手掛けた「思い出のマーニー」(2014年公開、興収35.3億円)を超える好スタートを切っている。
7月8日に行われた初日舞台あいさつで、「一歩ずつ進んでいければと思いますので、 前作(「思い出のマーニー」)を超えていきたい」と宣言していた米林監督。早速、有言実行の兆しが見えているが、やはり重くのしかかるのは“スタジオジブリ作品との比較”だろう。
監督自身も「宮崎駿監督を乗り越えていかなければいけないと考えた」と語っており、今の状況を「ジブリという魔法が解けて」とも表現している。また、西村義明プロデューサーは本作を製作するに当たり「10kg痩せちゃったんです」と告白し、その過酷さを明かした。
そんな“ポスト・ジブリ”という重たい荷物を抱えての船出となったが、本作に携わったのは、西村プロデューサーいわく「8割がジブリ出身のスタッフ」。
確かに、作画監督の稲村武志氏をはじめ、クレジットに並ぶのはスタジオジブリで活躍していた面々ばかり。背景美術を担当しているスタジオ「でほぎゃらりー」は、スタジオジブリの手描き美術が失われることを危惧して設立された新しい背景美術スタジオで、ジブリ作品に幾度となく携わっている男鹿和雄氏、武重洋二氏がアドバイザーを務めている。
そして、スタジオポノックとスタジオジブリには、もう1つ意外な共通点がある。それは、スタジオの顔とも言うべき“スタジオ名”を、“読み間違っている”こと。
「ポノック(ponoc)」とはクロアチア語で深夜0時のことで、新たな一日の始まりという意味が込められている。だが、「ponoc」を正しくカタカナ読みすると「ポノーチ」なのだ。
実は、「ジブリ」の由来となった“サハラ砂漠に吹く熱風”を指すイタリア語「ghibli」も、原語の読みにより近い表記をすれば「ギブリ」。宮崎駿監督の思い違いから「ジブリ」となった経緯がある。これは単なる偶然なのか、それとも…。
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