――お2人はこのホームズとワトソンを長く演じられていますが、改めてお2人が思う、ホームズとワトソンの好きな点や魅力は何ですか?
田中:ジョーン役のルーシー・リューはブロンドでもブルーの瞳でもなく、日本人が思い描くいわゆるニューヨーカーやアメリカ人とは違うと思うんですね。東洋系で日本人に近くて、親しみやすい感じが日本で受け入れられる魅力の一つだと思います。また、ファッショナブルなところや、お芝居の上手なところなども魅力ですね。この「エレメンタリー」はシーズン6の制作も決まりましたが、彼女は女優としてだけでなく監督にも挑戦するなど、この作品に懸ける意気込みや熱意、バイタリティーなどが画面を通し伝わってくるので、そういったものが演じているジョーンとオーバーラップして、作品での彼女の魅力に繋がっていると思います。
三木:ホームズですが、僕にとっては彼の存在自体が魅力です。ただ、一人だと本当にどうしようもない人なので(笑)、やっぱりジョーンと2人でいることが大事ですね。彼らは何かが欠落している者同士なので、本当によく巡り合えたなと。記憶力や洞察力は桁外れなホームズですが、生きていく上ではいろいろと苦労したと思います。でも、彼はそのこと自体に気がついてもいないと思うので。いろいろな意味で、どこを切っても魅力的な部分が見えてくるような人物なので、すごく素敵だなと感じています。
――ホームズとワトソンの“相棒以上、恋人未満”といった関係性も「エレメンタリー」の魅力だと思うのですが、演じる上で気を付けている点があればお聞かせ下さい。
三木:家でリハーサルをしてきて現場で合わせた時に、お互いの考えているものにそんなに差異はないです。元々、英語版の完成品に対して僕らは日本語を当てるのですが、2人の関係性はジョニー・リー・ミラーとルーシー・リューが素敵に演技してくださっているので、そこに僕らはすーっと乗っていく感じです。ただ、何かの拍子に浪花節のように入り込みすぎてしまうと、「やりすぎです」と注意されますね。そのため、そういった部分はテストの時に一度やってすっきりして(笑)、本番では抑えています。田中さん的にはどう?
田中:この作品で一番大変なのは三木眞一郎さんなので(笑)、いかにその邪魔をしないように、そして投げてくれたせりふを拾って自分の作ってきたものを乗せられるか、という作業をいつもしています。また、演技では彼のせりふを聞いて引き出されるものも多いですね。自分で作ってきた以上のものが現場で出てきて、自分でもびっくりすることもあります。“相棒以上、恋人未満”という2人ですが、相手に恋人ができる度にちょっとジェラシーみたいなものをお互いに感じています。だけど、そこから先には踏み出さない、すごく微妙な関係ですよね。そういった雰囲気が日本語版でも視聴者の方に伝わるといいなと思っています。
三木:本当にそう思いますね。
田中:べたべたし過ぎず、踏み込み過ぎず、でも嫉妬はするみたいな。
三木:この作品はスタイリッシュでありつつ、そういった登場人物の心の距離感がものすごく細かく描かれています。
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