井上瑞稀“ネズ”「なれの果てじゃねえよ」犬飼貴丈“みきお”の笑顔とともに迎えた大団円<なれの果ての僕ら>

2023/09/13 12:00 配信

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復讐の行方と決着


みきおがこの実験を始めた原因が亜夜子なら、今回の悲惨な事件の責任はすべて亜夜子にある。ネズは改めてそう断じ、亜夜子への復讐(ふくしゅう)を決意。怒りに震えるネズに、クラスメートたちから制止の声がかかる。

しかし、亜夜子は一瞬の隙をついてネズの足をナイフで切りつけ、落とした銃を確保。「甘いわね」と形勢逆転の状況に持ち込むものの、腹部の傷は深い。痛みにうめきつつも引き金を引いた先、銃口が向いたのは葉月依莉奈(紺野彩夏)だった。

腹部が真っ赤に染まる依莉奈。怒りに燃えて「ぶっ殺してやる」と発言した早乙女菊也(菅生新樹)に対して、亜夜子は「やめたほうが懸命よ。ここの映像…世界中に配信されるから。あなたたち6年2組の最高の姿が!」と高笑いして教室を去る。

この悲惨な実験の一部始終が映像として世に出回るという亜夜子の言葉。激高して亜夜子を追いかけようとする菊也とネズを止めるため、クラスメートたちがすがりついて制止する。これから誰かを手にかければ、証拠が世界中に残るからだ。ただ足を怪我していたためクラスメートたちのマークが薄かったネズは、教室を飛び出してしまう。

足を引きずりながら追いついたネズが見たのは、「楽しかったわ」と言いながら再起動した硫酸の罠に身を焼かれる亜夜子の姿だった。彼女が漏らした最後の言葉は、「よくできました」。一度は解除されたはずの罠が再び起動した理由について「たぶんみきおだ」とネズが語ると、駆けつけた鈴子は「みきおくん、目的果たしたんだ…」とどこか感慨深げにつぶやいた。

だが、波乱はまだ終わらない。教室から悲鳴が響く。

(C)「なれの果ての僕ら」製作委員会 (C)内海八重/講談社

最後の復讐と同窓会


悲鳴を聞いて教室に戻ったネズらが見たのは、元担任・桜庭橋子(我妻三輪子)が血走った眼で銃をクラスメートに突きつける姿だった。

彼女は映像が世に流れることを聞き、「終わりだ」と考えたという。そして昔から6年2組の全員が嫌いだったと言い、「友達みたいになれなれしく接してきて…あんたたちのせいだから…私が不幸になったの、あんたたちのせい!」「私にとっては“最低の6年2組。ずっとずっとずっと恨んでた…死ぬほど恨んでた」と心のうちを吐き出す。

そして銃をネズに放ると、依莉奈の腹に足を乗せて「撃ちなさい」と命令。その指が差しているのは、自分の胸だった。「なんで俺…」と困惑を隠せないネズに、「あなたのことが一番嫌いだからに決まってるじゃない」と笑顔の橋子。続いて「5秒以内に撃たないと葉月さんを殺す」と有無を言わせない状況を作った。

「いつも口だけ。また誰も守れないで終わるの?」と発破をかけられたネズの脳裏には、橋子のカウントダウンを聞きながら実験で死んでいった被害者たちの姿が駆け巡る。誰にも死んでほしくないと願いながらも、なにもできずに死なせてしまったクラスメートたち。

誰も正しい答えを出せない極限状態のなか、ネズの震える手を支えたのは、みきおの幻影だった。依莉奈を救うために放たれた銃弾は橋子の胸に命中。ついに、52時間に及ぶ狂気の事件は終幕を迎えたのだ。

事件後、ネズの釈放を機にクラスメートたちは再び“同窓会”を開いた。緑に囲まれた小高い丘の上で、参加できる人数だけの小さな集まり。腹部を撃たれた依莉奈はどうやら生き延びたようで、菊也の口から「なんとかやっている」という言葉が出てきた。事件後の生活が大変だったことを語りつつ、ご飯へ行こうと移動する面々。

ネズはクラスメートたちの背中を見ながら、ふと背後に感じた気配に「“なれの果て”じゃねえよ」と笑顔を浮かべる。そして気配にそっと背中を押されるまま、改めて“最高の6年2組”の仲間たちへ歩み寄るのだった。