俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第22回は、来たる12月5日(火)に日本武道館で開催される「演劇ドラフトグランプリ」について。優勝した昨年を振り返ると共に、今年の意気込みを語ってもらいました。
──昨年初開催され、大好評だった「演劇ドラフトグランプリ」が今年も開催されることが発表されました。染谷さんを含めた4人(今年は5人)の座長がドラフト会議で共演者を選び、演劇で優勝を争うという画期的な企画ですが、まずは昨年を振り返ってもらいます。染谷さんが率いた劇団「ズッ友」はどんなチームだったのでしょうか?
昨年は最初に演出家さんを選ぶ方式だったんですが、僕は松崎史也さんを指名させていただきました。ちょうどドラフト会議(2022年3月)と同じ時期に、松崎さんが演出された舞台「MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~SPRING 2022~」に僕も出演させていただいていたので、コミュニケーションが取りやすいと思ったからです。もちろん演出家としても尊敬している方です。
──松崎さんはどんな演出家ですか?
「A3!」でご一緒する前から、いろいろな役者からその評判は聞いていたんですが、実際その通りでしたね。すごく頭がキレて、選択肢を間違えないという言葉がぴったり合う方です。
──役者を選ぶドラフト会議では、1巡目に赤澤 燈さんを指名しました。その理由は?
共演回数がダントツに多くて、もう20作品は越えています。そういう意味でもいちばん信頼できる存在なので選ばせてもらいました。
──2巡目は野口 準さん、3巡目は松井勇歩さんを指名しました。
野口くんとは共演経験はなかったんですが、彼は燈と同じ「A3!」の夏組のメンバーなので、松崎さんが組みやすいと思ったからです。勇歩は過去に共演したことがあって、どんな役でも対応できる役者なので選ばせてもらいました。
──そして最後となる4巡目で、ベテラン俳優の唐橋 充さんを選択しました。
4巡目は経験豊富なベテラン俳優の方が何人かいらして、その中から共演経験がある唐橋さんを指名させていただきました。すごくお芝居が上手で、そういう方が1人いると芝居が締まると思ったからです。望んでいた4人を指名できたので、100点満点のドラフトでしたね。
──演劇テーマについてもドラフト会議でくじ引きが行われ、染谷さんのチームは「地図」に決まりました。そこからどのように内容を固めていったのでしょうか?
「地図」と聞いて、江戸時代に初めて日本地図を完成させた伊能忠敬(1745-1818年)が、真っ先に思い浮かびました。伊能忠敬は50歳を過ぎてから地図作りに挑んだ偉人で、ちょうどメンバーの中に唐橋さんがいたのでピッタリの配役かなとも思いました。それで最初に松崎さんに相談したところ「面白いね」と賛同してくださり、素敵な脚本を書いていただきました。
──どのようなストーリーだったのでしょうか?
伊能忠敬が全国を測量する中で、いろいろな人物に出会って、死んでしまったあとも、弟子たちが跡を継いで、日本地図を完成させるという史実に基づいた物語です。忠敬役は唐橋さんで、僕は忠敬の年下の師匠である、天文学者の高橋至時(よしとき)役を演じました。野口くんは忠敬の息子の秀蔵、燈は忠敬に感銘して弟子になる元忍者、そして勇歩には幕府の老中・松平定信を演じてもらいました。
──ラストシーンが大きな見せ場でした。
日本武道館のセンターステージが埋まるくらいの大きな地図を用意して、最後にみんなで広げる予定でした。でも稽古中に唐橋さんが「みんなで上に向けてパーッと舞い上がらせた方が画になるんじゃない?」と提案してくれて、実際にそうしたら見事に成功して客席から大きな歓声が上がりました。
──その時点で優勝を確信しましたか?
そうですね(笑)。でも優勝のいちばんの要因は、順番がよかったからだと思います。僕らは最後で、一番目に荒牧慶彦のチームが演劇をやって、次に佐藤流司のチームがアクション系エンターテインメントをやって、三番目の高野 洸のチームがダンスを生かした演目だったんです。そうした中で、僕らが最後にまた演劇をやったので、観客や審査員の方々に刺さりやすかったんだと思います。他の3作品ももちろん、それぞれ素晴らしかったです。
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