――撮影現場へは見学に行かれましたか?
はい、行きました! で、実はそこで、エキストラ出演もしてるんですよ(笑)。コンサートホールの観客の一人として。「ちゃんと自然に溶け込んでるかな?」とか心配しながら、二宮さんと波瑠さんの演技を間近で見させていただきました。
――気付きませんでした、あとでチェックしますね(笑)。ちなみに、内澤さんがこれまでに影響を受けた映画音楽があれば伺いたいです。
スタッフさんに教えてもらったものですけど、ジョン・カーニー監督の「音楽映画三部作」と呼ばれる3本…『ONCEダブリンの街角で』と『はじまりのうた』と『シング・ストリート 未来へのうた』。それらは、以前、音楽映画に携わらせていただくにあたってすごく参考にしました。また、『戦場のメリークリスマス』にも影響受けましたし、『ムーラン・ルージュ』の『Your Song』は…めっちゃ好き(笑)。『ムーラン・ルージュ』と『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のサントラは、繰り返し聴いてました。音楽の持つ力って偉大だなぁと思いながら。
あと、サントラの話とはちょっと逸れますけど今作『アナログ』をやるにあたってすごく励みになったのは、『すばらしき映画音楽たち』という、映画音楽の歴史をひもとく映画。それは劇伴を制作するにあたってすごく励みになりました。作業していて「俺ってダメだな、才能ないな」と思った瞬間もあるんですけど、そういうときは、この映画を見て涙を流して(笑)。マジでそうなんですよ!「歴史上の偉大なミュージシャンたちも、不安や恐怖と闘いながら作ってきたんだ」って思ったら、「俺にもできるかもしれない!」と(笑)。あの映画に救われながらやっていました。
――最後に、「劇中で鳴る全ての音楽に携わる」という今回の経験を通して、内澤さんにもたらされたものとはどんなことでしょうか。
モノ作りたるもの、細かいところまで妥協せずに作り上げるという信念。それに尽きるのかなと思います。各セクションの皆さんが最後の最後まで諦めずに――「これもう1回やり直すって絶対面倒くさいよな」と思うことも、面倒くささを上回る「良いものを届けたい」の一心でやってらっしゃるので。それを目の当たりにすると、「モノ作りはこうあるべきだよな」と思わされましたし、他の現場に行ったときにも妥協したくないという思いがよりいっそう強くなりました。手間をかければかけた分、やっぱり手応えのあるものが生まれます。特に音楽は、後世まで残っていくものですし。「〆切が芸術を作ってる」なんて言葉もありますけれども、今後とも、許されるギリギリの線まで粘り強く作品作りに取り組みたいなと思います。
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