深愛は亡くなった父親に日常的に暴力をふるわれていた。それをつらいと思っていたが、病気で亡くなった時は悲しみ、棺にすがりついた。しかし、同時に「もう痛い思いをしなくていいんだ」と安心した。それが深愛の中に“後ろめたさ”として残り、父親に対してそういうことを思った自分を「ひどい人間」だと思った。DVから解放されてホッとする気持ちは同じ立場にいる人間なら誰でも思うことだろう。自分をヒドい人間と思ってしまうのは、自己肯定感の低い深愛らしい部分とも言える。
「最低な人間」であることを愛する那須川には知られたくない。嫌われたくない。そんな深愛は那須川に会いに行くことにした。バイトは休みだが、お客としてスーパーに行き、そして2人になれる機会を得た。
那須川も突然別れ話を切り出したことに対する後ろめたさがあったのだろう。深愛が現れたことに動揺しつつも、「大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」と自分のことを心配してくれて、笑顔を見せる深愛にホッとしたのではないだろうか。
車を運転しながら那須川が言った「君のこと、嫌いになったわけじゃないんだ」という言葉が深愛を救った。自分のことが嫌いになったのではなく、家庭での問題で別れ話を切り出されたんだと解釈。那須川が深愛を抱きしめ、「デートはできないけど、これまで通りに接してほしい」という言葉も深愛を後押しした。
どうしたら那須川を救えるのか? その方法が分からない深愛はネットの匿名質問サイトに「気になる人が精神的に不安定で苦しんでいます。助けるには?」と投稿。回答の中の一つに「家が分かるなら、ポストに手紙を入れるのはどう?」という内容のものがあり、チラシを自作して、そこに自分の連絡先を書いて相手からの連絡を待つという具体的なやり方も。
もちろん回答者は冗談のつもりだったが、深愛は「これ! これだ!」と言って自分の携帯番号が入ったチラシを印刷し、那須川の自宅の郵便受けに入れた。あとは、那須川の妻・ふみこが深愛の携帯電話に連絡してくるのを待つだけ。まさに蜘蛛が獲物を捕らえるために巣を張っている状態。
第2話も齊藤の演技が光っていた。ピュア過ぎるゆえに狂気を感じさせる深愛。ハルキが那須川の息子だということを知り、不登校のハルキも救済しよう考え始める。もうすでに那須川家の人たちは深愛という“泥濘”に片足を突っ込んでしまっているようだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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