――放送中の「全力!脱力タイムズ」では、くりぃむしちゅーの有田哲平さんとタッグを組んでいますね。
「有田さんからも日々、いろんなことを教わっています。有田さんがすごいのは、必ずヒットが打てる人なんですよ。みんなで番組について考えているときでも、すごく面白いアイデアが出てくる。それを具現化するのが僕らの仕事なので、大変は大変なんですけど(笑)、その発想力や瞬発力は本当にすごいなと」
――その上で、有田さんとはどのようなコミュニケーションを?
「報道番組という設定で面白く見せるにはどうすればいいのか、というのがこの番組の基本コンセプトなんですが、それを踏まえて毎回、僕らがテーマとキャスティングを決めて、それを有田さんに伝えています。そのときに有田さんから、今回のゲストの役者さんは、こういう風にボケるより、こっちのボケ方のほうが面白いかも、といったアドバイスをいただいたり」
――ほかに、この番組ならではの工夫点はありますか。
「この番組では、実はゲストの芸人さんにはちゃんとした台本を渡していないんです。偽の台本を渡してるんですよ。だからその分、芸人さんが無理せずに立ち回れる環境を作るように心掛けています。じゃないと、芸人さんから嫌われちゃうので(笑)。
あとは、編集にもけっこう神経を使ってますね。例えば、解説委員の方が、女優さんの話はしっかり聞くのに、芸人さんの話には全く耳を貸さない、というシーンがよく出てくるんですけど(笑)、僕としては、視聴者の皆さんに、芸人さんがツッコむよりも先に、その何とも言えない空気を感じ取ってほしいんです(笑)。だから、そのためにあえて編集で“間”を作るようにしています。今の時代は、間を空けずにすぐツッコんだほうが見やすいし、分かりやすい。それは重々承知してるんですけど、できればこの番組は、“ながら見”ではなく、“前のめり”で見ていただきたいんです。
テレビを作る立場としては、“前のめり”で見てもらおうなんて、間違った考え方なのかもしれませんね。クイズ番組だって、問題が出たあとにすぐ答えが分かるような、“ながら見”できる構成のほうが受けるでしょうし。でも、こんな時代だからこそ、こういう作り方をする番組が一つぐらいあってもいいのかなと思うんです」
――では、『脱力タイムズ』の今後の展望は?
「今お話ししたように、“ながら見”がしにくい番組だからこその悩みなんですけど、『脱力タイムズ』って、途中から見られたら困ることがいっぱいあるんですよ(笑)。僕らとしては、冒頭からネタを振って、伏線を張って、という番組の細かい仕掛けを楽しんでほしい、という思いはもちろんありますけど、とは言いながら、どこから見ようが、それは視聴者の方の自由ですから。だから今後は、どうやったら面白さが伝わるのか、さらに工夫が必要だと思っています。
でも、そういう意味では今、これまでになかった新しいタイプのコントを作るチャンスなのかもしれない、と僕は考えていて。確かに、ストーリー性のある長尺のコントは作りにくい時代ですけど、そこで、短くて楽しめるコントを作るのか、それとも『脱力タイムズ』みたいに、あえて間を作って勝負するのか。今だからこそ作れるものがまだまだいっぱいあるんじゃないかなと思うんです。僕らテレビマンにとっては、むしろラッキーな時代なのかもしれませんね」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)