「この役はネットで一番叩かれる役だと思います」
大沢たかおに映画「キングダム」(2019年ほか)の「王騎」役をオファーしたプロデューサーは、捨て台詞のように言って、その場を立ち去った。人気マンガの実写化は原作ファンの厳しい目にさらされるため批判を浴びがちだ。その中でも王騎は特に人気キャラクター。しかも、独特な口調と常人離れした体格。それを実写で“再現”するのは難しい。そんな難題に応えるため、大沢はまず肉体改造を始めた。
別にプロデューサーや監督に指示されたわけではない。むしろ当初、監督は細身のまま王騎というキャラクターを作ろうと考えていたという。そんなこととは知らず、大沢は撮影が始まるまでの間、大学で筋肉を研究する先生やボディービルのチャンピオンなどにも話を聞きに行きながら、毎日、正月三が日も休まず「週8日」と言われるほどジム通いを続けた。
「現場に行ったときにみんなをびっくりさせたい」一心だったという(「おしゃれクリップ」2023年7月30日日本テレビ系)。20キロ近く増量し、自分の身体のサイズがわからなくなり歩いているとすぐにぶつかってしまうほど別人かのようになった大沢は、原作ファンも絶賛する王騎を作り上げたのだ。
実は大沢は、「キングダム」へ出演する前、2016年から2年間、“休業”をしていた。「がんばってもがんばってもドキドキしなくなってきちゃった」(「徹子の部屋」2019年9月25日テレビ朝日系)のが理由だ。「もう戻ってこれないかも」と覚悟を決め、休むというよりは辞めるつもりだったという。
アメリカの大学で英語を学びながら暮らしていた大沢の元にほぼ同時に2つのオファーが届いた。それが「キングダム」の王騎役と、イギリスで上演される全編英語の舞台「王様と私」への出演だった。どちらも極めてハードルが高い仕事だ。しかし、大沢は逆に燃えた。「どうせ自分が戻るならこれくらいハードルがないと自分が戻る必要性はない」(「おしゃれクリップ」前出)と。
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