身請けする金のない男と年季の明けない妓女が未来を憂い、心中する。そんな花街では珍しくない事件と思われた今回の出来事。しかし、二人の命を救ったお礼に娼館の女主人から手厚くもてなされた後、男の寝室を訪れた猫猫はとんでもない光景を目にする。自分を娼館に連れてきた禿がナイフで男の息の根を止めようとしていたのだ。
危機一髪、禿からナイフを取り上げて男の命を救った猫猫。だが、後からやってきた妓女曰く、男は妓女たちに身請けをほのめかし口説いては、飽きたら捨てるを繰り返す悪漢だった。これまでに何度も逆上した妓女に刺されそうになったり、毒を盛られることもあったが、豪商の息子ゆえ最終的にはお金で解決していたという。禿は姉が男の犠牲になったことに加え、今回一緒に毒を飲んだ妓女にも懐いていたため、自ら復讐しようとしたのだろう。羅門が不在の時に薬屋を訪ねてきたのも、少しでも処置を遅らせるためとも考えられる。
一方で、猫猫には、妓女たちを騙すしたたかな男が惚れた腫れたで心中を起こすものなのだろうかという違和感があった。「憶測でものを言っちゃいけないよ」という羅門の言葉でより冷静に思考を巡らせた猫猫は、ある一つの真相に辿り着く。それは妓女が男に煙草をつけた酒を飲ませたということ。しかも、酒は二層になっていて妓女は煙草の葉が混じっていない下の層だけを麦わらストローを使って、最初に毒味してみせた。だから、男の警戒心も緩んだのだ。その上で、妓女は自らも死なない程度の毒を飲み、心中事件に見せかけた。
つまり、今回の事件は巧みな偽装工作が施された殺人。娼館にいる全員がすべてを知った上で妓女に協力していた可能性も考えられたが、猫猫は「どちらでもいい そんなことを考えていてはこの街で生きていけない」と思考放棄するのであった。
結局は花街も後宮も本質は変わらず、どちらも花園であり、鳥かごであると思う猫猫。その閉じこもった空間の空気にみんな毒されていくが、温かな人と人のやりとりがないわけではない。
緑青館でもらい湯をした猫猫は、久しぶりに三姫の一人、梅梅(CV:潘めぐみ)に再会する。「猫猫が急に行方不明になって みんな心配してたのよ」と梅梅。緑青館のやり手婆もいつも通りに見えたが、本当は心配していたのだ。
翌日、緑青館で白鈴(CV:小清水亜美)に骨抜きにされた李白と共に、後宮へ戻った猫猫。すると、そこには不機嫌な様子の壬氏が待ち構えていた。どうやら、猫猫が簪の意味も知らずに李白を頼ったことが気に入らなかったらしい。
「俺もあげたはずなんだが まったく話は来なかったな」と、いじけて口を尖らせる壬氏のかわいさたるや。その後、猫猫が李白に払ったという“対価”に勘違いの妄想を膨らませて、呆気にとられる姿を含め、視聴者からは大好評。SNSでは、「壬氏の拗ね方かわいい」「壬氏様大ショックw」「李白さん、辺境に飛ばされそう」「シリアスな展開に見入っていたはずなのに、ラストの猫猫と壬氏のやり取りが面白すぎて大爆笑」といった感想が飛び交った。
◆文=苫とり子
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