Aぇ! group小島健と浅川梨奈の“明るさ”に助けられ… ドラマPが明かす制作秘話とラブシーンの裏側<帰ってきたらいっぱいして。>

2023/11/30 05:00 配信

ドラマ インタビュー

「帰ってきたらいっぱいして。」より(C)ましい柚茉/小学館/「帰ってきたらいっぱいして。」製作委員会

制作にあたっての不安も…「これって普通すぎるかな」


――“地上波ギリギリ”というコンセプトをうたっていますが、ドラマ化にあたって何か気をつけていることやこだわりはありますか?

“地上波ギリギリ”とあおっておきながら、ふたを開けたときに「全然大したことないじゃん」と思われないかと、正直とても怖くて、その点には常に気を揉んでいました。脚本の打ち合わせをしながらも、「これって普通すぎるかな」「どうしたら刺激と癒しを表現できるかな」と、毎日原作を読み込んで作品のことを考えていたので、だんだん感覚が麻痺してくるんです。

第1話が放送されたときは本当に眠れなくて、不安な気持ちのままリアルタイムでXを見ていました。その後、TVerや配信サービスでも配信され、さらに多くの人に見ていただきましたが、思っていた以上に皆さんが良い反応をしてくださり、やっと自分の中の不安が消え去りました。

小島さんのファンの方も含めて「ここまでやっていいの!?」といったリアクションで、キュンキュンというよりキャーキャーみたいな感じで盛り上がってくれたのがうれしくて。第1話でこんな反応だったらこの先大丈夫かなと、逆に心配に思ったくらいです(笑)。

――ラブシーンの撮影で心掛けていることはありますか?

現場では、演者と監督とプロデューサー陣で、どこまでどう演じるかをしっかり相談し、事前に監督と助監督さんが動きや流れを実演してくれるのがこの現場の名物みたいになっていました。センシティブなシーンはなるべくみんな外に出てカメラ1台のみで撮影するなど、演者への配慮や空気作りは欠かさないようにしました。

でも、主演のお二人がすごく明るくて、「全然大丈夫!」みたいな感じで。カットがかかった瞬間に爆笑しているぐらい本当に明るい雰囲気でいてくれたので、それにはすごく助けられましたし、頼もしかったです。

「“ラッキースケベ”がポイント」女性クリエイターの抜群のチームワーク


――今回クリエイター陣が女性ばかりということも一つのポイントだったかと思います。そのような形にしたことで、これまでの制作現場と違う感覚や手応えはありましたか?

女性目線のエッチさと男性目線のエッチさは違うと思っていて、この作品は、見方を変えたらただいやらしくなる可能性もある、そこが一つの懸念点でした。

また、朱音ちゃんの見え方には一番気をつけました。原作はまだ完結していないので、我々で最終話までのストーリーを考えたときに、一番最初のプロットでは、朱音ちゃんがいわゆる「軽い女の子」だと捉えられてもおかしくないような女性だったんです。高城くんと出会うものの、他の人との間でも揺れ動いて、自分の意思もなく流されてしまう…みたいな。でも、私の中ではそれは違うと思っていて。

朱音ちゃんは、同棲するのも「大好きな漫画家を続けたい、崖っぷちを脱却したい」という理由があるからで、シチュエーションがシチュエーションなだけで、エロにつながる展開はただの副産物というかラッキーというか…。元々下心があるわけではないということを大事にしたくて。

そういう「意図してなかったけどうれしいハプニングがあった」みたいなことを表現する“ラッキースケベ”という言葉があるのですが、最初に「“ラッキースケベ”がポイントなんですよ」と社内の打ち合わせで熱弁したときに、皆さん「何それ?」とポカンとしていて。話せど話せど、男性陣は「分からない…」みたいな感じになってしまって(笑)。

なので、監督も脚本家も女性がいいのではないかと思い、わがままを言わせていただきました。結果、社内的にも「女性クリエイターで固めるのがいいと思う」と言ってくれたので、感謝しています。

本当に、下さんの脚本には頭が上がりません。私が「なんかここ違うな…」と思っていることも全部下さんが先に「多分、朱音ちゃんはこういうこと言わないですよね」と言ってくれたり。下さんの一言には説得力と安心感があって、「分かってくれてる…!」と毎回感激していました。それがすごくありがたかったです。

澤田監督も、すごく楽しんでエネルギッシュにやってくださいました。ドラマをご覧いただいていたら伝わっていると思うのですが、ラブとコメディーを最高な形で表現してくださっていて。言わなくても通じるというか、原作もすごく読み込んでくれているのが伝わりました。本当に感謝しかないですね。