【ジョジョ連載】三池崇史監督「“スタンドは視覚化しなくてもいい”荒木先生の言葉がスタンドの実写化を大きく動かした」

2017/08/04 22:10 配信

映画

山崎賢人主演映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」がいよいよ8月4日(金)に公開される。シリーズ累計1億部を突破し、世界的な人気を誇る荒木飛呂彦の人気コミックの実写化だけに注目度も高い本作。公開までWEBザテレビジョンで集中連載してきたキャスト、監督によるリレー・インタビュー。最終回となる第4回に登場するのは、この映画の現場を先頭に立って引っ張っていった三池崇史監督である。

荒木先生の言葉が、ジョジョだからこその縛りから解放してくれた


ジョジョ―の現場を先頭に立って引っ張った三池監督


――まず、『ジョジョの奇妙な冒険』にスタンドは欠かせない存在ですが、どうやって実写化しようと考えたのかが気になりました。

「ただね、荒木(飛呂彦)先生の発想は、“ジョジョにはスタンドが出ると誰もが思っているかもしれないけど、出さなくていいんんじゃない”だったんですよ」

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――スタンドを出さなくても、成立すると?

「そうはいかないんですけど(笑)、荒木先生のベースにあったのは、『なぜ、スタンドを出してジョジョの物語を進めないといけないのか』。多分、“ジョジョと言ったら、スタンドですよね”といろんなスタンドを出したほうが原作ファンも喜ぶだろうという方向に行くのを警戒したんだと思います」

――スタンドという存在だけが際立つ作品ということですか。

「スタンド合戦というか。映画の人達はそっちに行きがちじゃないですか。そこで冗談なのか、本気なのか“スタンドは出さなくていいと思いますよ”と。でも、そうなんですよ。視覚化しなくてもいいという感覚は自分の中にもありました。スタンドが見えるのはスタンドを使える人だけですから。僕らはスタンドを使えない人ですよね?」

――その通りです。

「観客もスタンドを使えない人が多い」

――多い?

「1000人観たら、1人ぐらいは“俺には見えたよ”という人がいるかもしれない。スタンドは使えなくなくても、イメージで見える人もいると思うんです。今、スタンドがいたように感じたとか」

――スタンドがどういうものなのかは漫画に描かれていますからね。

「子供のような心で観たら、スクリーン上に存在するかもしれない。そう考えると、スタンドがいるように見せる撮り方もできる。ある意味、荒木先生が言った大胆だけど普通のことが、ジョジョだからこその縛りから解放してくれましたね」

スタンドと仗助は一緒に映っていいカットと映ってはいけないカットがある


「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」劇中写真


――結局、スタンドを実写化することになったわけですが。

「だから、見せ方かなと。最初に仗助が不良達に使うクレイジー・ダイヤモンドは速過ぎて見えないでしょ。最初からちゃんと分かるように見せてしまうと、人間と同じスピードになるからです」

――それではスタンドの凄みが伝わりにくい?

「そういうことです。ただ、自分にとって一番難しかったのは、スタンドと仗助などスタンド使いの動き。例えば、スタンドが闘っている時に仗助は何をしているのか。スタンドは『一心同体のものであるが別のものである』ですよね。そうなるとスタンドと仗助が一緒に映っていいカットと、映ってはいけないカットがある。仗助の思いでスタンドが動く時は仗助はいらない。スタンドが殴られたダメージを仗助が傷ついた姿でカットバックする。引いて撮る時にはスタンドと仗助が一緒の動きをする。でも、ひとつ展開を間違えば、大変なことになってしまうんですよね。違和感というか、余分なものを見せることになる。そういう意味では、撮影前に絵コンテを作るのは削ぎ落とす作業でしたね。その間にスタンドとスタンド使いが、なぜそう動くのかという役割がシンプルに見えてきて、その段階から自分は面白さを感じていました」