40年前の昭和、私たちは小学生でした。友達と遊ぶときは、時間と場所をしっかり約束して待ち合わせ。それが曖昧で、会えずに帰るなんてこともあり。
友達の家に電話するときはダイヤルを回し、たまに親父が出て緊張したり。道で大人に会えばあいさつや小話をし、飴玉をもらったり。友達のお母さんに「ただいまは?」と強要されたり(笑)。
悪さをしていれば誰かの親父に叱られたり…。大人たちには大体のことはバレていた。今、この令和なら、あの元気な大人たちみんな不審者扱いかもしれない。SNSで拡散されたりして(笑)。と、この作品の台本を読ませていただきながら昔を思い出し懐かしんでいました。
誰にとってもその人の昔は、古い本やポスターのように色あせるわけではなく鮮やかな色を残してくれていると思います。昭和と令和がポジティブにつながっている表現ができたらと思い、デザインしました。キャストの皆さんの絶妙なコメディ顔も楽しんでいただけたらうれしいです。
1986年――。小川市郎(阿部サダヲ)は、“愛のむち”と称した厳しい指導をするのが当たり前な昭和の体育教師。野球部の顧問も務め、生徒たちからは「地獄のオガワ」と恐れられていた。
その一方、家では男手一つで17歳の一人娘・純子(河合優実)を育て、娘の非行に手を焼く普通の父親でもある。最近は市郎の帰宅時間をやけに気にする純子が男を家に連れ込み“ニャンニャン”するのではないかと心配していた。
ある日、市郎は、いつものようにタバコを吸いながらバスで帰宅中、ついウトウトしてしまう。目を覚ました市郎の目に飛び込んできたのは、パンツが見えそうなスカートをはき、耳からうどんを垂らした女子高生がバスに乗り込んでくる姿だった。
その姿に違和感を覚え指摘する市郎だが、乗客たちは車内でタバコを吸う市郎こそおかしいと口論になってしまう。逃げるようにバスを降りた市郎が目にしたのは、見たこともない異様な格好をする人々となんとなく変わっている景色だった。
なんとか見つけたなじみの喫茶店に飛び込み、事態が飲み込めないまま市郎は動揺してカウンターにいた犬島渚(仲里依紗)のビールを勝手に飲み干し、口論になってしまう。
一方、1986年の同日、純子は向坂キヨシ(坂元愛登)から突然告白されていた。キヨシは、社会学者である母・サカエ(吉田羊)と共に令和から昭和にタイムスリップしてきた中学生。街中で偶然出会った純子に一目ぼれしてしまったのだ。純子は“ムッチ先輩”こと秋津睦実(磯村勇斗)に密かに思いを寄せているにもかかわらず、キヨシを家に連れ込もうとする。
昭和の「当たり前」は令和の「不適切」!? “昭和”から“令和”にタイムスリップしたことで改めて感じる人々とのギャップや共感を描く、意識低い系タイムスリップコメディがスタート!