竹内涼真が主演を務め、「きみセカ」の愛称で親しまれるドラマ「君と世界が終わる日に」。“ゴーレム”と呼ばれるゾンビがまん延する世界で、愛する恋人や仲間たちを守るために命がけで戦う主人公・間宮響の姿を描く本格ゾンビ作品だ。1月26日(金)からは「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」が公開予定となっており、オンライン動画配信サービス「Hulu」では近日中にシーズン5の公開も決定している。そこで本記事では、「きみセカ」の劇場版と最新シーズンをより楽しむために、物語の始まりが描かれたシーズン1の内容を見どころと共に振り返っていく。(以下、一部ネタバレを含みます)
物語の舞台は、三浦半島の南端に位置する三浦市。同棲中の恋人・来美(中条あやみ)にプロポーズをしようとしていた間宮響(竹内涼真)は、ある日職場に向かう道中でトンネル滑落事故に巻き込まれ、閉じ込められてしまう。やっとのことでトンネルを抜け出すと、そこは生ける屍“ゴーレム”たちが街をさまよう“地獄のような世界”に変わり果てていた…。
その後生存者たちが集う場所へ向かった響は、同級生で警察官の等々力(笠松将)と再会する。等々力いわく、化け物にかみつかれると謎の感染症にかかり、それがパンデミックを起こしているのだという。
そこで響は等々力の上司・本郷(大谷亮平)や大学生の佳奈恵(飯豊まりえ)、引っ越し業者のアルバイト・ミンジュン(キム・ジェヒョン)、小説家の宇和島(笹野高史)らと共に、安全な場所と行方不明になっている来美を探すことに。
その頃来美は自衛隊に保護され、研究者の首藤(滝藤賢一)がゴーレムウイルスの感染者を救うワクチン開発をしている“横須賀駐屯地”に身を置いていた。2人はお互いがどこかで生きていると信じながらも、日々ゴーレムたちと終わりの見えない戦いを余儀なくされる。
やがて響らが助けを求め横須賀駐屯地に訪れると、響らの集団がテロリストとみなされ、本郷が自衛官の1人に殺されてしまう。復讐(ふくしゅう)を試みた等々力が別の自衛官を殺すと、響は“生きている人間を殺めた”と等々力を責め、2人は決別する。
その後1人で行動する等々力は偶然来美の居場所を知り、彼女に会いに行くのだが、高校時代から来美に片思いしていた等々力はつい“響が死んだ”と来美に伝えてしまい、来美はショックを受ける。
そんな中、首藤は“来美が特殊な遺伝子を持っている”と彼女に告げ、ゴーレムウイルスの臨床実験の話を持ちかける。最愛の人を亡くしたという絶望感から、生きる理由を失ってしまった来美は、被験者として実験に協力することを決めるのだが、そこには首藤の“ある企み”が隠されているのだった…。
本作における見どころの一つと言えば、個性豊かなキャストたちによる圧巻の演技力だろう。特に、等々力演じる笠松の演技力には目を見張るものがある。思わぬハプニングで上司の本郷が殺されたことで、等々力は本郷を殺した自衛官に激しい憎悪を抱くようになるのだが、この時の心情の変化を笠松は見事に表現しており、作中でも強い存在感を見せつけていた。
また、作中に登場するコミュニティー内での“対立や絆”も本作の魅力を引き立てている。響が所属する“放浪グループ”と呼ばれる集団では、メンバー同士がお互いの命を守るうちにどんどん家族のような絆が芽生えていき、いつの間にかかけがえのない存在に変わっていった。その様子が丁寧に描かれているため、メンバーが感染したり亡くなってしまうシーンは、感情移入せずにはいられない。さらに考え方の違いで衝突が起きたり、恋愛模様が描かれたりなど、コミュニティーならではの人間ドラマも魅力ポイントだ。
ちなみに作中ではさまざまなコミュニティーが登場する。来美が保護された横須賀駐屯地のコミュニティーでは、研究者の首藤が圧倒的な権力を誇示しており、いわゆる独裁政権のような形だったため、それぞれのコミュニティーの在り方を対比してみるのも面白いかもしれない。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)