テレビ大好きイラストレーター・渡辺裕子さんが、お気に入りの番組をかわいいイラストで紹介する連載「いつもテレビをみています」。今回はスペシャル回として、話題沸騰中のドラマ「おっさんずラブ-リターンズ-」(テレビ朝日系)が後半戦へ突入したのを記念して、その魅力をイラストと共にたっぷりと語り尽くします。
教会での結婚式、美しいスーツ姿で、揃って右足から歩み出す春田と牧。
不動産編の続編「おっさんずラブ-リターンズ-」制作発表にびっくりしすぎて、放送が始まってもなんだか夢を見ているような気持ちだったんですが、第6話でふたりの結婚式に参列し、やっと「本当だった」と実感しました。とうとうここまで来た春田と牧、おめでとうございます、おかえりなさい。
「そしてふたりは幸せに暮らしましたとさ」の先も、生活は続く。休日の過ごし方、家事に対する考え、きのこの山が好きかたけのこの里が好きかまで、何から何まで価値観が違う人と、誰よりも近く暮らすこれからのふたり。みんなに優しい春田と「俺なんか」とすべてひとりで抱え込んでしまう牧は正反対だけど、そこで「違うから無理」と拒絶して離れるのではなく、ぶつかってケンカして謝って許しあってを繰り返し、ひたすらコミュニケーションし続けるふたりが愛おしい。きのこ派たけのこ派で争わないで、交換したら楽しさ2倍。誰かと暮らすって、そういうものですよね。
そういえば第一話は、牧と部長のキャットファイトで破壊されていく結婚式という春田の初夢から始まったんでした。あれが正夢にならなくてよかった。部長は春田への恋をきっぱり諦めたはずだし……なのに部長あらため武蔵が、家政夫としてふたりの新居に入りこむって、諦めてなかったんかーいと思わずつっこむ展開。春田をかわいがり、姑のようにねちっこく牧を攻撃する武蔵に、狂犬チワワと化して激しく反撃する牧。牧と武蔵の毎週激しくなっていくケンカも、コミュニケーションの一種と言えるかもしれない。ほどほどに、仲良くケンカしてもらいたいものです。ふたりのバトルを毎回大笑いで見てますが、春田と牧を応援したい、だけど……という武蔵の複雑な思いもわかるから、笑いながらもちょっと泣けてきちゃう。感情の起伏の高低差が大変です。
恋の喜びとせつなさが同時に描かれてきたこれまでの「おっさんずラブ」、今シーズンはふたりの恋が落ち着いた分、せつなさ少なめかと思っていたら、新キャラたちの過去と秘密が明かされるにつれ、彼らのせつなさが大爆発。春田の部下・和泉と、おむすび売りの菊様、そして今はいない、春田そっくりの秋斗。ぽやっとした和泉さんがつぶやいた「人生もcontrol+Zができたらいいのに」も、大量のジャムパンも、こんなにせつない意味があったなんて。
と、TVerでこれまでの話を振り返ってしみじみしつつ、スピンオフドラマ「春田と牧の新婚初夜」も、ぜひどうぞ……えーと、本当に新婚初夜です。
春田も牧もいつもの仲間たちも、変わってないようでちょっとずつ成長していて、特にあの「今時の若者」っぽかったマロが、牧の背中を押して春田の元へ走らせた時は泣けました。なんてすてきな大人になったんでしょう。でも若い彼らが成長した分だけ、人生の先輩たちは歳をとっていて……武蔵の体調が心配です。彼にも、ひとり暴走し続ける武川さんにもハッピーエンドがありますように。そしてどうにかしてスピンオフドラマ「公安ずラブ」が見たい。秋斗さんもリターンしてくれないものでしょうか。
■イラスト・文/渡辺裕子
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)