「阿部(サダヲ)さんは語尾を含めかぎかっこの中をほぼ変えていない」、磯山Pが明かす宮藤官九郎脚本のすごみ<不適切にもほどがある!>

2024/03/14 07:00 配信

ドラマ インタビュー

阿部サダヲ&宮藤官九郎の間には「きっと暗黙の了解がある」


――阿部さんとのやり取りで印象に残っていることはありますか?

ドラマの主演が決定したことについて、事務所の方からご本人に伝わるまでこちらから特に連絡はしていなかったのですが、ある日阿部さんご本人から「お話聞きました、頑張ります」という内容の連絡が来たんです。

なので、「意識低い系のおじさんの役です」と返したところ、阿部さんからご自身が笑っているスタンプが送られてきたことが印象的です(笑)。すぐに“理解してくださったな”と感じました。

――放送スタート前に「阿部サダヲさんという役者を一番光らせるのは、宮藤官九郎脚本だと心から思う」とコメントされていましたが、これまでの撮影を振り返っていかがですか?

宮藤さんは、阿部さんが劇中に登場する乱暴な言葉をどういう風に言うか想像した上で(台本を)書いているのだろうなと思います。台本には「ブス」とか「メスゴリラ」といったワードがあるのですが、こういった言葉を発する時のさじ加減が私よりも二人の方が分かり合っているなと感じています。

正直、第1話には文字面だけ見ると「これ面白くなるかな、こんなひどいこと言って」と思う部分があったのですが、二人のあうんの呼吸で魅力的に仕上がりました。大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(2019年、NHK総合ほか)で阿部さんが演じた“まーちゃん”こと田畑政治がベースになっていると思うのですが、今作はそれを進化させた感じなのかなと。きっと二人の中に暗黙の了解があるんだろうなと思って、ずっと見ています。

細かい部分にはなるのですが、阿部さんは語尾を含めかぎかっこの中をほぼ変えていないので、シナリオ本が出たらぜひそこを確認してほしいなと思います(笑)。

――磯山さんが「さすがにこれは不適切じゃないか?」と思ったワードがあれば教えてください。

このドラマにはさまざまな固有名詞が出てきます。もちろん宮藤さんも気をつけながら書いてくださってはいるのですが、マイナスなイメージを生むようなイジりはやめようという話はしています。

強いて挙げるとすれば、第1話で市郎がノックをしながら「男のくせに女の腐ったような!もやし野郎め!」と叫ぶシーンがあるのですが、台本上では市郎のせりふの間に“カキーン”って書いてあって。

きっとボールがバットに当たる音であまり聞こえないことを想定していたと思うのですが…そんなにうまい具合にノックはできないので、最初から丸聞こえで(笑)。

でも、校長室のシーンでサカエが全て否定してくれるので「まあいいのかな」と思ったんです。そういった発言をしっかり否定してくれる人物は必要だなとは感じました。