倫子が待ち望んでいた最愛のわが子は亡くなってしまう。子どもを抱き締めながら、泣く倫子に家治は掛ける言葉を見つけることができなかった。
その後、月日は流れる。倫子はまだ悲しみから抜け出せていなかった。憔悴(しょうすい)しきった倫子の姿が痛々しく、涙があふれた人もいただろう。
大奥で、倫子はたくさんの嫌がらせを受けてきた。そのたびに、倫子はお品とともに力を合わせ、自分なりに乗り越えてきた。そんな倫子の姿を見て、勇気をもらった視聴者もいたように思う。しかし、今回はそうもいかなかった。子どもを失った深い悲しみは、どんどん倫子をむしばんでいく。
そこへお知保(森川葵)がやって来る。朝の総ぶれの報告をするお知保に、倫子は御台所としての役割を果たせていないことについて、謝罪の言葉を述べる。さらに、倫子は、お知保が竹千代からもらったセミの抜け殻を見けてしまう。
倫子は「よかったですね。さなぎから立派な大人になれたのですね」と涙を浮かべる。何をしていても、見ても、なくした子どもを思い出してしまうことが分かる切ないシーンとなった。
大奥では、どんな話も筒抜けだった。子をなくした倫子の耳に入ったのは、付き人としてともに過ごしてきたお品の懐妊だった。
倫子はお知保に、お品が子どもを授かったことについて問う。はっきりと「はい」と告げるお知保に、倫子は静かにそうですかと返答する。
倫子はお品を最後まで信じていた。飛び交う話もお品の口から聞くまでは信じないと思っていたかもしれないし、何か事情があるのかもしれないと考えていたのかもしれない。倫子にとって、お品は大切な存在だったのだから。
しかし、お品は倫子の思いを裏切ることに。家治の側室になったことも、家治の子どもを授かったことも言わず、倫子の前にも現れることなかった。お品のこともあり、倫子はさらに深いダメージを負う。最愛の子どもだけではなく、大切な存在であるお品もそばにいない。倫子は立ち直る気力を全てなくしてしまったのだった。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)