生見愛瑠が自分らしさを模索する“新たなヒロイン”を体現、瀬戸康史×神尾楓珠×宮世琉弥との恋の四角関係が動きだす<くる恋>

2024/04/08 17:30 配信

ドラマ レビュー

主観に満ちたレビュー


くるり~誰が私と恋をした?~」、通称「くる恋」はラブコメミステリーと銘打っているものの、華やかなキャスト陣や公開されている予告動画の印象からハッピーオーラ全開の“火ドラ”を想像していた。しかし、冒頭に映し出されるのはまことが記憶を失うことになった夜の一部始終。逃げ惑うまこと、たしかに近づく足音、思わぬ展開に引き込まれる視聴者も多いはず。

その直後、まことは“事故”によって、名前をはじめ自分にまつわるすべての記憶を失ってしまう。地図を頼りに自宅に帰るもその部屋は驚くほど殺風景で、クローゼットの中にある服もベーシックなカラーのものばかり。かと思えばクセの強いTシャツや男ウケが良さそうなデート服が出てきて大混乱。

まことは記憶を取り戻すべく奔走するというより、事故に遭う前の自分の“キャラ”を懸命に探していくが、そんな彼女に突き刺さるのは「らしくない」という言葉。過去の自分を知れば知るほど、得体の知れない孤独感を抱えながら、それでも少しずつ前に進もうとするまことはちょっとカッコイイ。

2021年に「おしゃれの答えがわからない」(日本テレビ系)でドラマ初出演にして主演を務めて以降、数々の映像作品でバラエティー番組とのギャップを見せてくれた生見。そんな彼女が本作で見せる、“新たなヒロイン像”にもぜひ注目いただきたい。

そして、個性豊かな3人の“王子様”の存在はやはり大きい。事故で入院したまことに最初に会いに来た同僚の朝日、「記憶戻るまで俺にできることあったら助けるよ」と不器用ながらに寄り添う元カレ・公太郎、ストレートに思いをぶつけてくる謎の年下男子・律。

中でも、まことをよく知るであろう公太郎の言葉は、他のキャラクターたちとはひと味違う。「記憶がないってことは自分らしさから自由になれるのかもな」、迷い、戸惑う自分を肯定してくれる元カレの存在は、すでに円満に別れているとはいえ、沼すぎる。タイプの違う3人の魅力にどっぷり浸かりつつ、ぜひ推しを見つけていただきたい。

実生活のみならず、SNSでも“自分”というキャラクターを演じることが当たり前の現代…新生活がスタートしたばかりでお疲れ気味の人も多いはず。火曜夜は、“恋の相手”と“本当の自分”を探すまことの新たな人生を応援しながら、タイプの違うイケメンたちに癒やされているうちに、“くるり”とはいかずとも、ちょっとだけ人生がいい方向に変わるかもしれない。

文=たくあんとほたて