東京芸術劇場のシアターウエストにて、4月9日より「Le Fils 息子」が開幕する。初日公演に先駆け、出演者の若村麻由美・岡本圭人・岡本健一、演出のラディスラス・ショラーからコメントが届いた。
4月5日に「La Mere 母」の素晴らしい初日をあけることができてホッとしたばかりで、本日4月9日に「Le Fils 息子」の初日を迎えるので、母の初日をあけたのが夢のような気持になっています。
10日にはいよいよ「母」と「息子」の同時上演という初めての経験が待っているので、心臓が飛び出るような緊張感とトキメキを感じられるなんて、とても恵まれた環境にいるんだなと感じています。3年前もすごくいいカンパニーでしたが、3年を経て再会しても、チームワークがよくて、信頼し合える役者、信頼できるスタッフと仕事ができるということが、本当に幸せなことなんだなと実感しています。
「Le Fils 息子」は、生きるということを模索している息子を、愛する両親がなんとか助けようとする物語で、「La Mere 母」は、生きる望みを失って、生きている価値がないと感じている母の目線で書かれた物語です。
ラッド(ラディスラス・ショラー)の演出では、母としてすべてを失った人が、もう一度夫婦として生きていく道を見つける、という光を感じて終わる演出になっています。「Le Pere 父」は、人生を終えていく父が認知症を患ってしまい、自分の中にあるものが全て空っぽになっていく姿を描いています。
すべての主人公が何かを喪失していくということを描き、周りの家族も描いたのが「家族三部作」です。それぞれの家族がどうしていくのかが描かれているので、何度観ても見ごたえのある作品になっていると思います。
2023年の12月頃から台本の打合せなどが始まっていたのですが、2024年1月に能登の震災があったこともあり、稽古の途中ではありますが、私たちもそれぞれに復興支援を行っていました。能登は、私自身は能登演劇堂のこけら落としにも携わっていまして、3年前の初演の時に「Le Fils 息子」を能登演劇堂を上演したこともあり、カンパニーのみんなも能登に思い入れを持ってくださっています。
このランタンは、ソーラーで灯るもので、防水で、震災の影響で電気がないところや、(アルピニストの)野口健さんがボランティアで作っていらっしゃるテント村にも配置してとても役立てていらっしゃるそうです。
「家族三部作」には、“Mon Putit Solail モン・プティ・ソレイユ(私の小さな太陽)”というセリフが(三部作全てに)登場するのですが、このランタンは“ソーラー”なので、この“Mon Putit Solail モン・プティ・ソレイユ(私の小さな太陽)”というセリフを、私の直筆で入れました。
購入していただくと、ひとつは皆様のお手元に、そしてもうひとつが能登で被災されている方々のもとに届けられます。今回は私が自らお届けに行きたいと思っています。ぜひ皆様、能登のためにもお買い求めいただければと思います。
3年ぶりの再演となりますが、この「Le Fils 息子」は多くの方々に届けるべき作品だと思いますし、この物語はたくさんの方々に知っていただきたいです。また、こうして再演という形でお客様に届けることができて嬉しいです。
今回は、「Le Fils 息子」と「La Mere 母」が同時上演となるので、とにかく頑張るしかない!という気持ちです。3年前は自分の初舞台だったのですが、そこからいろんな舞台を経験させていただいたので、またニコラを演じさせていただくのは原点に戻ったような気持ちです。
今回は「母」と「息子」の同時上演ということもあり、「息子」の稽古をしながら「母」の稽古をしていたので、「母」をやっていくうちに「息子」のニコラも成長していく相乗効果のようなものを稽古場では感じていました。だから「Le Fils 息子」だけでなく、「La Mere 母」を観劇することによって「Le Fils 息子」の解釈や感じ方、考え方が変わると思いますので、ぜひ両作品とも観ていただきたいです。
この作品は、自分の初舞台作品なので特別な思いがあり、今回の稽古が始まる前は「この3年間で成長した姿をカンパニーのみんなに見せたい」と思っていたのですが、実際に稽古が始まったらそんな余裕はなくて、とにかくお客様に見せたい!という思いを強く感じました。
また、この「Le Fils 息子」は、“生きる”か“死ぬ”かがテーマになっているのですが、生きていれば誰でも考えたりすることだと思うので、この作品を通じて、皆さんにも生きることの大切さを知っていただき、考えてもらえたらなと思います。