——梅津剣こと“ウメケン”を演じてみて、いかがでしょうか?
みなさんと演じることがとても楽しいです。僕をメインで見る人はいないと思うのですが、「弁当の中にこのおかずが入っていてラッキー!」と思われるぐらいの存在にはなりたいです。
——実際に撮影現場に入ってみての印象を教えてください。
川口さんをはじめ、とても親しみのある方ばかりという印象です。ドラマの現場はピリピリしていると聞いたこともあるので最初は緊張していました。でも、みなさんとんでもなく和気あいあいとしていたので気が楽になりました。
——演じるにあたり意識していることはありますか?
覚悟を決めたシーンはありました。それが、七苗さんに手伝ってもらっての風呂場を洗うシーン。監督からは「早送りで見せるので、セリフはアドリブの掛け合いでお願いします」と言われて。七苗さんが風呂桶を洗って、僕が水で流していきました。
川口さんってむちゃくちゃ美人じゃないですか。だから最初、目を合わせられなかったんです。でも、僕が「もっと早く洗ってくださいよ!」と言ったら七苗さんが「もう疲れた。背中かいて」と。
勝手な想像ですけど、「お前こっち側にこられるのか?」と言われたように感じ「これはやらないと終わりだ!」と思って、ボリボリと背中をかいてあげたんです。そこからウメケンを演じる覚悟が決まったというか…役者として、ひと皮むかせていただいたように感じました。
——撮影現場では、齋藤潤さんが伊藤さんをご覧になって笑いが止まらないエピソードがあったと聞きましたが…。
あはははは、そうですね。僕は監督から言われるがまま演じただけですが、齋藤くんがひたすら笑ってくれるので、芸人の性(さが)が出てしまいました。笑ってくれると完全にスイッチが入ってしまい、どんどん誇張して撮影が長引いても笑わせたいという思いが強くなってしまったんです(笑)。
——お芝居ではアドリブも入れているのですか?
監督から「伊藤さん、セリフも変えちゃって大丈夫です。アドリブもバンバン入れてください」と言われたので、これは「入れろ!」ってことかと思って。だから「ずっとここで働かせる気ですか? “釜爺”(スタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』の登場人物)じゃないんだから」というアドリブを入れようとしたことがありました。
同じシーンにいた芽育ちゃんは若いので、撮影前に「“釜爺”って知ってる?」と聞いたら「知っています。ジブリのですよね?」とおっしゃったので「これはイケる!」と思って撮影に臨みました。実際に「“釜爺”じゃないんだから!」とアドリブを入れたら、監督からカットがかかって「“釜爺”はなしでお願いします」と言われてしまったんです…。
もうめっちゃ恥ずかしくなって、二度とアドリブは入れない!と決意しました。以来、言い方は変えても決まったセリフがあるところでアドリブを入れることはありません。かなりトラウマになってしまいました(笑)。
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