妹を心配して慌てて病院に向かおうとする光星を、聖子は「まだ話は終わってない」と引き止めた。娘よりカネ…光星は幼い頃、聖子が男に絡みつきながら「母親なんてもうウンザリ」と言っていた光景を思い出し、「アンタって人は、ちっとも変わらないな…」と吐き捨てた。これまで従順だった息子から「アンタ」呼ばわりされた聖子はビックリ。そして彼は、黒田(原田龍二)は詐欺師である事に全く気付いていない母親を「バカだ」と責めた。
これまで聖子に対してガマンしてきた事が爆発して止まらなくなった光星は、自分が聖子の為にどれだけ犠牲になってきたかを訴えた。母親が自分に関心を示すのは、自分が贅沢できると分かった時だけ。光星が令嬢とばかり付き合ってきたのも、聖子が喜ぶ顔が見たかったからだ。前妻・るり子と結婚したのも、今の地位が欲しかったから。そこに愛は無かった。
そんな彼が、初めて自分の意志で「会いたい」と思ったのが優香だ。損得勘定無く自分と向き合ってくれる優香は、彼にとって初めてのタイプの人種で、些細な事でも喜び、笑顔を見せる優香に魅かれたのだ。「結婚しよう」と言ったのは、肝臓が欲しかったからではなかったはずだ。だが、母親ファーストだった当時の彼は自分の本心に気付けず、優香をあっさり捨てた…。
「アンタのせいで、人生を自由に選べなかった」と、目に涙を溜めて訴える光星にうろたえながら「いい子でしょ?ママの言う事聞いて」と言う聖子。そんな彼女を突き飛ばし、「もううんざりなんだよ!アンタの息子でいる事が!!オレの前から消えてくれ!」と、光星は怒りをぶつけた。ショックのあまり発作を起こして倒れ、ピクピクと痙攣する聖子を見ながら大笑いする光星の顔は、泣いているようにも見えた。
光星が優香にした事は決して許される事では無いが、彼もある意味、聖子の犠牲者だ。愛が何なのかを知る事もできずに育った可哀想な人間。もっと早く母親の呪縛から解かれていれば、優香と結人との幸せな人生を歩めたかも知れない。
しかし彼は、愛し方を知らず、謝る事も出来ない人間に育ってしまった。いくら望んでも、もう優香と結人とは「家族」には戻れないし、優香にとって光星はもう忌まわしい存在でしかないのだ。
次週、最終回、光星への復讐の切り札を手に入れた優香が彼とどう向き合うのか、そして光星が優香にしてきた過ちを認めて心から謝り、彼も前を向いて正しい人生を歩めるようになるのか…2人の関係を最後まで見届けたい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※桐山漣の「漣」のしんにょうの点は一つ
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