このたび放送される「血頭の丹兵衛」でも、もちろんその魅力は健在である。幸四郎自身も「本作は迷いながら生きる粂八の苦悩と、それをしっかりと感じて更生へ導いてゆく平蔵を繊細に描いているところが魅力に感じます。『鬼平犯科帳』は、登場人物の人生が繊細に描かれているところが、傑作たる所以かと思います」と語っていた。
今回は、前作「でくの十蔵」にて火付盗賊改方に捕らえられた盗賊・小房の粂八と江戸で凄惨な盗みを繰り返す盗賊“血頭の丹兵衛”(古田新太)を巡る物語が展開される。粂八が知っている、かつて自分のお頭だった盗賊・血頭の丹兵衛は、“殺さず、女を犯さず、貧しき者から盗まず”という三ケ条を掟とする本格派の盗賊だった。そのため、粂八は残虐な盗みを働く血頭の丹兵衛は“偽者”だと主張し、密偵となって血頭の丹兵衛一味が潜伏しているという島田宿に赴きたいと平蔵に願い出る。果たして、血頭の丹兵衛は“本物”なのか“偽物”なのか?
今回の主人公と言っても良い粂八の魅力を幸四郎はこう分析していた。「粂八の“自分の信じること”への純な姿に、平蔵は希望を感じたのではないかと思います」。そんな粂八にとっての希望であり光でもある“本物”とは一体なんなのだろうか。ぜひ、彼の目を通して“本物”を見て欲しい。あなたもきっとその純粋さにハッとして心動かされることだろう。
また「でくの十蔵」に引き続き、今回も本編後には出演者たちが「血頭の丹兵衛」について語り合う、時代劇専門チャンネルだけのスペシャルトーク番組も放送される。本編とはまた違ったゆるっとしてクスッと笑える仲睦まじいトークは実に面白い。さらに、7月6日(土)はテレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」と連続シリーズ「鬼平犯科帳 でくの十蔵」も放送されるため、この機会にぜひ「鬼平犯科帳」の世界にどっぷりと浸かってみてはいかがだろうか?五代目鬼平は私たち視聴者にとっても光となるはずだ。
構成・文=戸塚安友奈
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