大奥でキャリアアップを図る新人・アサ役の黒沢は、元々シリーズの大ファンであるといい、本作においても好きなシーンがいっぱいあると明かした。特に、「今回は、薬売りさんのアクションシーンなど、カッコいいシーンがとても多くて。ビジュアル面での表現や、音楽とのハマり方もたまらない。この環境でご覧になるのがうらやましい」と観客に向けてコメント。
さらに黒沢は「後半のシーンは、すべての五感を溶けさせながら物語の中に入ってほしい。上も下も、わからなくなるような感覚もある」と、熱っぽく語った。
また大奥の最高職位「御年寄」を務める歌山役の小山は、「アフレコはめちゃくちゃ大変でした!」と告白して、周囲も大笑い。「台本では、セリフが横書きされていた」と秘話を打ち明けた小山は、セリフやカット割りのスピードにも驚愕したという。「あまりにも速いので、台本のページをめくるのが忙しくて。(ページをめくる)ノイズが入ってしまうといけないので、全部セリフを書き出して。それをもとに挑戦しました。こんなことは初めてですが、頑張りました」と苦労を吐露。中村監督は「小山さんに歌山役を受けていただけて、勝ったな!と思いました」と絶大なる信頼を明かした。
さらにこの日は、主題歌「Love Sick」を担当したアイナ・ジ・エンドからビデオメッセージが到着した。完成作を観た感想として「色彩の展開の数の多さにびっくりしました。そしてなんと言っても、声優さんたちの命の声の吹き替えというのが、ものすごいなと思いました。画面で起こっていることなのに、目の前でささやかれているようなくらい、生々しい瞬間が多々あり、声優の方々のパワーを感じた」とコメント。
続いてアイナ・ジ・エンドは「『凛として時雨』のTKさんが楽曲を作ってくださいました。とてもキーが高くて大変なんですが、もしよかったら一緒に歌ってもらえたらうれしいなと思います」とメッセージを送った。
中村監督は「和風の作品なので、そういった音を意識していただいた。TKさんもたくさん質問をしてくれて、いろいろなやり取りをして。すごくいい曲が仕上がりました」と大満足の表情を浮かべていた。
また、情念や怨念が取り憑いたモノノ怪が登場する作品の内容にちなんで、「情念を抱くほど切望する願いごと」をそれぞれが短冊に書いて発表する一幕も。神谷は「健康第一」とつづった短冊を披露し、「切実です。若干いま、鼻声です。お聞き苦しい鼻声(びせい)を響かせています。“声優殺すにゃ、刃物はいらぬ。風邪のひとつも引かせりゃいい”という感じ」と名フレーズを作り出して会場の笑いを誘った。
黒沢は「モノノ怪Tシャツがほしい」、小山は「すべての邪気を祓い、この星を平和な星に」と願った。中村監督は「薬売りさんにたくさん会いたい!」とお願い。“実は薬売りはたくさんいる”という設定がありながらも、「まだ全然、会えていない。残りの人生をかけてなんとか…」とさらなる続編への意欲を見せていた。
七夕の日らしいイベントの最後に、神谷は「劇場で観るにふさわしい映像に仕上がっています。まず1回目は圧倒的な映像に身を委ねて、時間を過ごしてください」と改めて完成作に胸を張った。小山も「アニメーションというよりも、アート」だと映像美をアピール。黒沢は「アサの人生にいろいろなものを託して演じました。受け取っていただきつつ、圧倒的な世界観を楽しんでください」と演じた役柄に愛情を傾けた。劇中のモブ女中のお面を持った観客と一緒にフォトセッションを行い、大盛況のイベントは幕を閉じた。