なぜシンパイが生まれるかというと、未来を考えてしまうから。いまや年寄りの僕が思ったのは、遠い未来のために“13歳のこの時”を犠牲にする必要はないということ。ライリーはアイスホッケー場のとても美しい光のなかにいるのに、不明瞭な未来のために、その美しい瞬間を手放す必要はないんじゃないの?ということです。おそらく本作のクリエイターたちも僕と同じような気持ちで、この“光”を創造したんじゃないでしょうか。
苦い経験や失敗体験が出てきますが、それらを全部含めて“私らしさ”だと、すごく肯定してもらえた気がしました。“失敗してもいいんだよ”、“あなたのネガティブな気持ちもあなたそのものだから”と子どもにも伝えられるような、“どんな気持ちや感情も大事だ”というメッセージが、より強化されたように感じて本当に感動しました。
ライリーと感情達の成長を観ていると「僕の感情達は、今の僕をどう思ってくれているのだろう」と考える事があります。僕のヨロコビは、カナシミは、シンパイは、他の感情達は幸せに自分を見守ってくれているかな。この映画はライリーとその感情達の物語であるのと同時に、私たちの物語でもあります。観た後に、自分を好きになれる映画「インサイド・ヘッド2」。幸せな気持ちになりたい人、ぜひ観て欲しい。自分を好きになりたい人、絶対に観て欲しい。
歳を重ねていく中で色々な経験を積んでいくからこそ、感情は複雑になっていく。でもその時は自分の頭の中でこの子達が一生懸命動いてるんだなって想像したら、その気持ちも小さくなるかも!って思うとなんでも楽しめそう。
“自分のネガティブな感情とどう向き合っていくか”という物語。ネガティブな感情をなきものにせず、ネガも大事な自分の一部なんだよ、とちゃんと見せてくれるのがすばらしい。しかも上から目線じゃなく、“自分もそうだったけど、いつかそういう感情が大事になる日が来るから頑張れ!”というエールが、子どもや若者への応援歌になっていて愛がある。
思春期のライリーの中にある様々な感情が暴れたり、助け合ったりしているのを見ていると自分の中の感情も動かされます。自分が思春期だった頃も自分の中では、こうやって新しい感情が生まれたりしていたのかな?と思うと懐かしい気持ちにもなり、改めて親孝行をしなくちゃ!と思える作品でした。何度観ても楽しめると思いますので、皆様も是非楽しんでください。僕はポーチーが好きです!笑
二作目は一作目を越えられないという映画界のジンクスを見事に覆した、一作目に負けず劣らずの素晴らしい完成度。まさに「インサイド・ヘッド」か、それ以外か。
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