目黒蓮“夏”を田中哲司“基春”がファインダー越しに見る姿に心震える<海のはじまり>

2024/08/20 12:58 配信

ドラマ レビュー

大きくなった夏をファインダー越しに見る基春


基春と別れた直後、海からも、合流した弥生からも怖い顔を指摘されるほどだった夏。親というだけで期待してはいけないと思っていても、やはり何か期待してしまっていたのだ。

だが、その後、写真店の店主・新田(山崎樹範)から基春が夏と会った日から毎日通ってきていると聞き、再び会うことに。

そこでカメラは趣味ではなかったが、他人の子に対しては感じなかったという幼い夏の顔が毎日違う顔をしていることを「面白い」と思い、写真に残しておくためカメラを買っていたことを知った。夏がいつも持ち歩いている当時のカメラを久しぶりに手にした基春は、ファインダーをのぞき、近くの景色から夏へと視線を向けた。

そこに見えたのは、3歳から大きく成長した息子。言葉にならない瞬間をとらえた描写は胸に迫るものがあった。新田が言っていたように、基春は夏と同じく説明下手で不器用な男だった。

そんな基春に夏は、海の存在を知ってからの本音を吐露することができた。「めんどくさいことになった」と思ったこと、自分も「悲しい」と言えないこと…。基春はときどきツッコミを入れながらもそれを受け止め、「本音言いたくなったら連絡しろな」と告げた。

前半ではSNSに「クズ」という言葉が並んだ基春だったが、後半では印象がガラリと変化。とくにカメラのファインダー越しに夏を見るときは、田中哲司の圧巻ともいえる演技だった。

第1話で朱音が「(男の人は)妊娠も出産もしないで父親になれちゃうんだから」と言うシーンがあったが、基春の姿を通してあらためて父親について考えさせられることにもなった。

◆文=ザテレビジョンドラマ部