<南くんが恋人!?>ドラマGPが飯沼愛&八木勇征を絶賛「2人が演じるからこそ、ちよみと南くんの“儚さ”が余計に強くなっている」

2024/09/07 06:00 配信

ドラマ インタビュー

「普通の家庭に“手のひらサイズ”の人を置いちゃうと、その『うそっぽさ』の方が目立つんじゃないか」


――今のお話にもありましたが、ちよみが育った堀切家の、他人から見るとやや複雑な家庭環境や、商店街の人たちとの温かな「共同体」感も岡田さんならではという印象がありました。それらの設定はどのように決まったのでしょうか?

私から岡田さんには「やっぱり家族の話にしたいですよね」と話していたくらいで、家族の設定については本当にゼロから岡田さんが考えてきたアイデアなんです。「これだけ複雑なんだけど、どう?」っていう話があって。ただ、普通ならああいう人間関係のドラマの中に、ともするとそこの人間関係の危うさとか、ちょっとドロドロした感じを描きたくなると思うんです。

でも、岡田さんがすごいのは、本当に人の良い部分に光を当てていく方なので、あんなに複雑な環境なのに誰も(性格が)ねじ曲がっていないんですよね。みんなが真っすぐに誰かのことを愛して守っているということが、ああいう家族構成の方がより面白く見えるなという気がして、そこがすごくいいなと思いました。

今この時代に「手のひらサイズの恋人を守る」ということ自体がすごく大変じゃないですか。ちよみがちょっとコソコソしていることにしても、本来ならみんな気付いているしバレていると思うんですけど、逆にああいう家族だからこそ、そこを見過ごせる温かさと優しさがあるというか。それが絶妙だなと思いました。普通の家庭に手のひらサイズの人を置いちゃうと、その「うそっぽさ」の方が目立つんじゃないかなって気はしました。

(C)テレビ朝日


――私は子供の頃に高橋由美子さんと武田真治さんによる「南くんの恋人」をリアルタイムで見ていた世代なので、「マグカップ風呂」や武田さんが会見で語っていた「どんぶらこっこ」といったおなじみのシーンには非常に懐かしさを感じました。今回のリブートに際して、逆に「変えてはいけない」と思ったところを教えてください。

もちろん内田さんが描かれた大元の発想となっている、「人が小さくなること」の面白さや儚さのようなものは絶対に変えてはいけないと思っていました。あと、原作の漫画は「ガロ」(※独自の作家性を持つ漫画家を数多く輩出した伝説の漫画雑誌「月刊漫画ガロ」)で連載されていたこともあって、ちょっとエッチだったりするんですよね。だからこそ思春期独特の空気感があると思うんですが、そこの“匂い”は変えてはいけないというか、岡田さんとも「残したいよね」という話はしていました。

男女の性差はあれ、やっぱり思春期の人が抱える悩みとか喜びとかは当然あると思うので。いくら時代が昭和から平成、令和になっても、その世代特有の悩みというものは根本的には変わらないと思いますし、そういった部分は今回のドラマもちゃんと描いていきたいよねと。(今の時代は)それが「自己肯定感」だったり、「学園の中での立ち位置」だったり、きっといろんなことがあると思うんですが、そういったことを描きたいっていう話はしていました。


「南くんが先に“運命”を知ることで、ちよみと南くんの関係性が変化するところも見せたかった」


――さまざまなトラブルはありつつもどこか牧歌的だったちよみと南くんの日々が、5話の国仲涼子さん演じる早苗との出会いを境に一気にシリアスなものになっていきました。ファンタジー要素の強い物語でありながら、容赦のない展開が待ち受けているところも「これぞ岡田惠和脚本だな」という印象がありましたが、今回の展開について岡田さんとはどんなお話をされましたか。

ちよみの方は先ほどお話ししていたように、「15センチの南くんを守る」ということで成長の過程がすごく描かれていくんですが、南くんというあれだけ完璧に見えるスーパースターが、実は15センチになった瞬間に、嫌な面というかすごく人間らしい面が出てくるんです。

それはそうですよね。それまではスーパースターとして存在していたのに、15センチになった瞬間に何も自分一人じゃ思い通りにできないんですから。当然わがままにもなるだろうし、ダメな部分も見えてくるだろうし。

だけど、「そんな15センチになっちゃった南くんが、自分の“運命”を知った時に考えることって何なんだろう」とか、「ちよみに何を伝えたい、残したいって思うんだろう」とか、そういったことをちゃんと描くべきだよねという話は、今回特に岡田さんとしていて。だから5話でもう一人手のひらサイズの女性(早苗)が出てきて、「なぜ南くんは15センチになってしまったのか」を南くんだけが先に知るという展開を描きました。

南くんが知ってしまったことで、またそこでちよみと南くんの関係性が変わってくるじゃないですか。そこも含めて(変化を)ちゃんと見せたいというのが、これまでの「南くんの恋人」との大きな違いかもしれないですね。これまでの作品では、小さくなった側の変化ってそんなに描いてこなかったと思うので。

南くん(八木勇征)は早苗(国仲涼子)と出会ったことで、自らの“運命”を知ってしまう(C)テレビ朝日