<南くんが恋人!?>ドラマGPが飯沼愛&八木勇征を絶賛「2人が演じるからこそ、ちよみと南くんの“儚さ”が余計に強くなっている」

2024/09/07 06:00 配信

ドラマ インタビュー

単なる“メタぜりふ”にとどまらない、武田真治の名シーンが持つ意味

ちよみ(飯沼愛)が手のひらサイズの南くん(八木勇征)と話す様子を見てしまった信太郎(武田真治)は挙動不審に(C)テレビ朝日


――5話で信太郎が15センチの南くんを見てしまった時の、「でも…なんだろう…なんかそんなには驚いてないかも俺…なんでだ?」というせりふには笑ってしまいました。これはやはり、かつて武田真治さんが南くんとしてちよみに接したことを踏まえてのせりふかと思いますが、このせりふについては岡田惠和さんと何か会話はされていましたか?

そこだけは私の方から「入れてほしい」と言った覚えがあります(笑)。「誰が最初に15センチの南くんを見たら面白いか」って、いろんな選択肢があるじゃないですか。(“大先生”こと百合子役の)加賀まりこさんが見るってパターンもあれば、(ちよみの母・楓役の)木村佳乃さんが見るっていうパターンもあるし、もっと言うと(久子役の)室井滋さんは3話でポケットに入った南くんを目撃していますし。

その中で、「やっぱり(信太郎役の)武田真治さんが見た方がいい」と岡田さんがおっしゃったので、だったら (南くんの姿を)見て驚いていいんだけど、そこで何か一言だけ入れてほしいなと思ったんです。(信太郎の中に)「どこかで驚かない自分」がいてほしいなと。

と言うのも、実はこれって結構難しいシーンなんです。手のひらサイズの人を見た、でも黙ってなきゃいけない、しかもそれがうそか誠か分からない中でなぜ黙っているかと言ったら、何となく「娘を信じよう」っていう気持ちだけで黙っているって、正直なところドラマツルギー的にいろいろ無理があるんです (笑)。

「なんで本当のこと話しかけないんだよ」とか、ツッコまれたらキリがないポイントなんですが、その一言を武田真治が言うことによって許せちゃうというか。30年前に同じ状況を受け入れていた人なんですから、今回だって受け入れるでしょうという(笑)。ある種のメタファーというか、フィクションとノンフィクションとの混ざり合いというか。


――レギュラーキャストの武田さんに加え、3話では高田純次さんもゲスト出演されましたが、30年前の「南くんの恋人」のキャスト陣を起用された狙いはどのようなものだったのでしょうか。

実は私自身も30年前に「南くんの恋人」を見ていた世代ですので、あの当時から岡田さんの生み出す世界も大好きでしたし、岡田さんは岡田さんで30年ぶりに自分で「南くん」を書くという時に、やっぱりあの時出ていたキャストの皆さんに対する思い、リスペクトはすごくあると思っていて。そういう思いをうまく伝えていきたいということから、ご協力いただける方には出ていただきたいと思っていました。

第3話に古文の先生役で登場した高田純次は、1994年版のドラマ「南くんの恋人」で南くんの父親役を演じていた(C)テレビ朝日


「この夏一番親子で見ていて楽しめるドラマに仕上がっているなと思っています」


――初回からTVerでかなりの再生回数を記録するなど多くの視聴者から反響が来ていたと思いますが、そうした反響の声についてはどのように感じていますか?

30年前にあれだけ愛された「南くんの恋人」の世界というのが、今こうして形を変えても皆さんの心に届くだけの強さがあるんだなと改めて思いました。それと、令和版はより「親子で楽しめるドラマ」に仕上がった感じがしております。

15センチになった南くんの世界って、子供は無条件で好きなんじゃないかと思います。物が大きく見えたり、逆に小さくなったりするっていうのは、やっぱり僕も子供の頃にすごくワクワクしましたし、それがリアルに展開されている(ことでお子さんにも楽しんでもらえている)。

加えて、先ほどお話したようにいろんな「愛」が描かれているので、本当に辛くて大変な状況になりながらも、岡田さんが人の良いところにちゃんと光を当てて、ドラマとして感じさせてくれている気がします。

そういう意味でも、この夏一番親子で見ていて楽しめるドラマに仕上がっているなと思っています。1~2話あたりで本当に大きな反響をいただいたんですが、それ以上にもっともっと親子で見ていただけるドラマとして話題になってもらえたらありがたいなと思っています。


――特に本作は、我々のような30年前に「南くんの恋人」を見ていた世代が、親の視点からちよみと南くんの物語を見られる形にもなっているように思いました。

おっしゃる通りです。僕らが30年前に見ていたあの時の感じがありつつ、当然僕らも年を取って子供ができて…となった時に、その子供を見て「これはね」って言えるような題材になっているかなという気もしますし、親子の会話の種にもなるし、共通の見方というのもあるでしょうし。その辺りを狙っていけるといいなというのは密かに思っています。

【写真】30年前の作品を知る世代からも大きな反響を集めた、八木勇征“南くん”のマグカップ風呂シーン(C)テレビ朝日