<降り積もれ孤独な死よ>中山Pが明かす特別な“刑事サスペンス”ドラマへのこだわりと、作品に込めた思い「決して希望や救いのない話にはしたくない」

2024/09/01 06:00 配信

ドラマ

苦戦したことは「オリジナルストーリーの追加」


――原作があっての実写ドラマ化っていうとこでは苦戦したこと、大変だったことありますか?

原作者の先生と丁寧に向き合わせていただいて、作ることが出来たと思っています。苦戦したところで言うと、原作の面白さをいかにちゃんと引き継ぐかっていうところは、いい意味で難しいと思いました。だからこそ細かいところをドラマ版で作らせていただくというよりかは、2024年という原作にはない世界を付け足させていただいて、原作の良さはそのまま受け継がせていただこうと思いました。

原作のテーマがすごく素敵だなと思っているので、そのテーマを全10話で、特に最終回でどう伝えられるかは、大変でしたがすごくやりがいのある作業でした。大事なテーマ、メッセージを伝えるべくいかに着地させるかというところは、とても意識しました。

――「降り積もれ孤独な死よ」だからこそと胸を張れる素敵ポイントや作品としての強みがあれば教えてください。

一つは「役者さんとスタッフの圧倒的な熱量」です。それが役者さんのお芝居や映像から見て取れるからこそ、番組の質の高さに繋がっていると思っています。役者さんの演技やスタッフの映像に対するこだわりが、僕が今まで経験した中でも上位に入るぐらいの熱量で。すごくありがたいところですし、魅力かなと思います。

もう一つは、「ただの考察ドラマ、ただのサスペンスではない」という点です。サスペンスドラマとヒューマンドラマ、二つの側面を持つドラマなのですが、この人間ドラマの部分がすごく魅力的だと思っています。登場人物が皆、重たいものを背負っていますが、それをみんなで少しずつ補い合いながら人は変わっていけるんだというメッセージが、このドラマにしかない魅力だと思っています。

刑事ドラマに涙する視聴者が続出


――SNSの反応を見てて、どんな風に感じてますか?

序盤はサスペンスドラマとして、灰川邸事件の犯人は誰なのか? という点を楽しんで見ていただいた方が多いのかなという印象を受けましたが、中盤以降、徐々に人間ドラマの部分、虐待を受けた子供たちについてや、切ない生い立ちの犯罪者に対して、気持ちに寄り添うような反響を頂戴しています。

監督、役者、脚本家、皆で共有していたことですが「サスペンスドラマではあるけれど、決してサイコパスな登場人物は出さないでおきましょう」っという話をしていて。罪を犯してはもちろんいけないのですが、「その人物の言動にしっかりバックボーンがあるような作りにしましょう」と、言い続けてはいたので、SNSの反応を見ていると、その辺りが伝わっているのではと感じています。

あとは、主題歌である、あいみょんさんの「ざらめ」を始め、音楽の面でも満足していただけているのかなと感じています。

――刑事ドラマで初めて泣いたって投稿している人もいましたね。

「このドラマで泣かされると思ってなかった」という意見もいただいたりしていて。ただのサスペンスドラマで泣くことってそんなにないと思うんですけど、中盤以降、すごく泣いていただいてるなっていう印象は受けますね。

――最終回に向けての見どころと、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

誰かが誰かを守るということだったり、劇中のセリフでもありますが「生きてれば大抵のものは直せる」だったり、 人と人との繋がりだったり、このドラマの本質が最終回にしっかりお届けできたらを思っています。

サスペンスドラマではあるので、犯人が明らかになったり、伏線が回収されたりといった点でも満足していただける着地になっていると思いますが、ドラマとしてのメッセージやテーマといった心臓部分も最後まで丁寧に作り込んでいますので、「なるほど、この犯人だったか」っていう楽しみとともに、そのメッセージを受け取ってもらえたらなと思います。