――「原点回帰」がテーマでしたが、振り返ってみていかがですか。
元々マリコというキャラクターは、科学一辺倒でした。そんなマリコに木場警部(小林稔侍)が「科学で人の心を見てはいけないよ」と伝えたことにより、人として成長していくことになりました。
その「科学で人の心を見てはいけない」というテーマに関しては、原点に戻れたのかなというふうに感じています。
――長く続くと時代とのギャップも出てくると思いますが、時代に合わせて変更したことは?
このドラマに関しては、毎回新しいことを取り入れているので、時も流れています。なので、時代とのギャップはほぼないと思います。
「時代」に合わせてというよりも、「日々進化していく科学」に合わせて変更したことは、数年前にセットを一新したことですかね。
――改めて制作する上での苦労は?
苦労ではないかもしれませんが、シリーズ助監督がいつも頑張ってくれています。例えば、白骨化した遺体があるとします。その骨を一つ一つ正しい場所に並べるのがシリーズ助監督の仕事の一つになります。
ただ並べるのではなく、専門家にちゃんと確認しながら、丁寧にかつ正確に並べるというとんでもなく神経を使うことをこなしてくれています。
他にもたくさんのことがあるんです。皆さんに科学という映像を届けるべく、日々奮闘しています。何か一つとっても誰かの努力があるので、そういった背景もあるのだなと思ってくださったらうれしいです。
あとは、夏の撮影ですね。自然には勝てませんし、日々、暑さ対策をしながら、撮影していました。
――科学雑誌を定期購読して案出しもされていると別媒体の記事で拝見したのですが、最近驚いた、「使える!」と思った科学技術は何でしょうか。
最終回の1話前では、クッキーの中に情報をプリントする話をやっているのですが、 科学雑誌の中にこの技術があるっていうのを見つけて、実際に企業秘密とか運んだらどうなるんだろうみたいな着想を得て、ミステリーにしました。
――新レギュラーの科捜研の「会計係」として加藤諒さんが参加し、シーズンゲストとして鈴木福さんが「新人警官」役で参加されています。プロデューサー目線で見た感想や評価、なぜこのお二人だったのでしょうか?
シリーズの隠れテーマが師弟関係だったのですが、マリコも土門(内藤剛志)も引退が近い立場の人間だとは思うんですよ。要するに、組織の中ではもう1番のベテランで、いろいろなことを下の世代に伝えていくっていう、社会の中でそういう立場にあるべき人だと思うんですね。
下の若い世代に、いろいろなものを伝えて、バトンを渡していく。それが師弟関係かもしれませんし、上司と部下の関係なのかもしれません。今回は「つなぐ」ということをちょっとテーマにできないかなと思っていました。
その中で、マリコらは科捜研、土門らは警察官という組織の中で、若い下の世代に何をどう伝えていけばいいのかっていうことを考え、シリーズゲストである 鈴木さんの演じる交番勤務のキャラクターが誕生しました。
鈴木さんは若い世代の象徴というか、多分、 全国民が知ってる、20歳。若いけど、すごく才能があるし、 ご高齢の方でも鈴木さんを知っているのでオファーしました。本当に演技が素晴らしかったです。
――加藤さんを選ばれた理由は?
加藤さんが演じるキャラクターは、科学を分かりやすくするために、視聴者の方と同じ目線であることを前提に作られました。
みんなの会話を、少しコミカルに、コメディーリリーフとしてなんか立ち回ってくれると考えた時、唯一無二の存在である加藤さんならどんな状況でもこの役をやり切ってくれると考え、オファーさせていただきました。
――記事の公開が最終回近辺を予定しておりますが、沢口さん、内藤さんはじめキャストの皆さんに改めて伝えたいことはありますか?
いつもありがとうございます。僕らが考えていた裏テーマ「下の世代に伝える」ということを僕ら以上に汲み取っていただき、エモーショナルに表現してくださり、本当に感無量でございます。何度も言いますが、本当にありがとうございました。
――最終回の見どころをお願いします。
沢口さん、内藤さん、鈴木さん、山谷(花純)さんのシーンが見どころになっていると思います。これまで299回放送してきましたが、5本の指に入ると思うほど、素晴らしい話になっていますし、エモーショナルなシーンになっています。ぜひご覧ください。
インタビュー・文=八神真子
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