『虎に翼』脚本・吉田恵里香「本当に恵まれた現場だった」“自分の人生を自分で決めること”を描いた作品に

「虎に翼」より(C)NHK

このチームだからこそ真正面から取り組めました


――終盤の大きな山場である原爆裁判、それにつながる戦争中の描写についてはどのような思いがありましたか?

主人公のモデルである三淵さんが原爆裁判を担当されたということは、彼女の半生を調べた時から分かっていたので作品の中でも描きたいと思っていました。ですが、どこまでがっつりと扱うかということは、自分の中でも扱いきれるのか不安でもあって。それでも「虎に翼」のスタッフさん、役者さんへの信頼がすごくありましたし、このチームだったら真正面からやっていける、やりたいと思いました。

元々この作品では戦中描写は少なく、戦後をメインでやりたいと思っていて。第9週からはずっと戦後編と言えますし、戦争の“傷痕”を描いてきています。その一つの大きな山として原爆裁判を扱っていますが、真正面からしっかりと描くということは、書き始めてから覚悟が決まったという感じではありました。法律考証の先生方、演出の方に本当に色々なことを調べていただき、そして私自身も調べていく中で、“原爆投下という出来事”は知っているはずなのに、全然知らないことだらけで、自分でも思うことがある事柄だったので正面から取り組めて良かったと思っています。

――社会での人権、仕事、そして家庭の問題。人の幸せを考えた時、それらすべてが切っても切り離せないものなのだと「虎に翼」を見ていて改めて感じます。吉田さんの思う“幸せ”とは何か、お聞かせください。

自分ではどうにかできないことが多いと思うんです。でも自分ではどうにもできないことがなくなっていくといいなと。少なくとも皆が、ある一定のスタートラインになったら幸せだなと思いますね。もちろん戦争も含めて、争いが一個一個しらみつぶしになっていけばいいと。そういう争いの種が一個でも消えたり和解したり…そういうものが見えることにすごく幸せを感じます。

――最後に、“願いを口に出していく派”という吉田さんがいま思う、次なる夢はなんでしょうか。

また朝ドラやることです(笑)。朝ドラのオファーが早いうちに来ることが夢ですね!