静かで鋭い若葉竜也の“佇まい”を考察 「アンメット」ほか演じた世界の一部を振り返る

2024/09/28 17:00 配信

ドラマ 映画

二世界目:映画「街の上で」

「街の上で」(C)『街の上で』フィルムパートナーズ


若葉竜也映画初主演作。今泉力哉監督が、変容する "カルチャーの街" 下北沢を舞台に紡ぐ、古着屋と古本屋と自主映画と恋人と友達についての物語。僅か11館での封切りから、熱狂的な支持により、約120館まで全国拡大公開となった本作で、若葉は主人公・荒川青を演じる。

下北沢の古着屋で働いている青は、基本的にひとりで行動している。たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったり。口数が多くもなく、少なくもなく。ただ生活圏は異常に狭いし、行動範囲も下北沢を出ない。“シモキタ”で事足りてしまうからだ。

そんな青の日常生活に、ふと訪れる「自主映画への出演依頼」という非日常、またいざ出演することにするまでの流れと、出てみたもののそれで何か変わったのか分からない数日間、そしてその過程で青は、さまざまな女性たちに出会っていく。

下北沢で暮らす青をはじめ、登場人物たちがとてもリアルだ。まるで誰かの日常を勝手に覗き見してしまっているかのようなリアルさ。下北沢という街の非日常感の中にある日常が、映画というフェイクの中にあるリアルとマッチして溶け合う。実に不思議な感覚。

その世界観を助長させているのは、間違いなく若葉の“普通すぎる会話”だろう。あまりにも自然で、まるでファミレスで隣の人の会話を聞いてしまったような感覚になる。

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