文芸作家としても活動するNMB48の安部若菜の2冊目の小説『私の居場所はここじゃない』が12月6日(金)に発売することが決定した。安部の1作目の小説『アイドル失格』は全12話で実写ドラマされ、「コンプティーク」でコミカライズも進行中。第2作『私の居場所はここじゃない』発売までの期間、NMB48の主力メンバーとして活動する傍ら小説執筆にも精力的に挑戦する安部若菜の作家としての努力やアイドル活動との両立について綴るエッセイをお送りする。第4回はみんなが知っているようであまり知らない「芸能オーディション」について感じたことを綴ります。
アイドルになる際にほぼ必ず必要なのが、オーディションです。現在NMB48で活動している私も、高校1年生の頃オーディションを受け合格し、晴れて加入することが出来ました。
オーディションっていったら、歌の審査とかダンスの審査とか? ぼんやりとしたイメージはあるけど、実際に受けたことがある方の方が少ないかもしれない“芸能オーディション”。12月6日発売の小説『私の居場所はここじゃない』は、芸能オーディションに向かうまでの高校生男女5名を描いた物語です。
“芸能オーディション”と言われると、自分とは遠い世界のように感じるかもしれませんが、“芸能界”という特別な世界ではなく、今作は至って普通の高校生たちが中心となっています。
私もそうでしたが、初めから特別な人なんてそうそうおらず、9割方の受験生は、オーディションを受ける段階では、「学校だるー、放課後遊ばん?」なんて話すありふれた高校生となんら変わりません。
残りの1割は、オーディション前からSNSや何かしらでとんでもない存在感を放っていたりします。「芸能界に入るために生まれたんだな」と思わせてくる人は、やはり一定数存在しますが、意外と少数な気がします。
今回は、自分自身の経験を振り返りながらオーディションについて詳しく書いてみます。
私が受けたオーディションは「第3回AKB48ドラフト会議」です。普通のオーディションとは違い、野球のドラフト会議のシステムを取り入れたものなのですが、複雑なため、詳細は省きます。
ネットで一次審査に応募し、二次審査からは東京へ。オーディションの段階では皆普通、と言いながらも、当時は「二次からは全国から猛者が集まるんだ……私なんかで大丈夫かな……」と気が気ではありませんでした。おそらく9割の子が思っている気がします。
二次審査は10分程度の面接。趣味や特技、志望理由などのありきたりなものだったと記憶しています。そして…三次審査は、ダンス審査→残った人のみ同日に歌唱審査→更にその合格者が四次審査へ、と三次でかなり削られました。
ダンスは1時間程度その場で振り付けを教えられ、8人ほどのグループごとに披露していきましたが、全く踊れず、絶対落ちた…!!と思っていたら何故か名前を呼ばれて驚きました。
歌も、人前で歌った経験は音楽の授業かカラオケくらいで、緊張で音程を外しまくり、その後質問された内容にもロクに答えられずでしたが、運良く合格することが出来ました。
その後もオーディションは4カ月ほど続いたのですが、やっぱりNMB48に加入してからもオーディションの連続です。ステージに立つ序列を決めるオーディション、ステージに立てるかどうかのオーディション。番組に出るためのオーディションを受けることもあります。
そしてどの仕事に誰を選ぶか、どの序列になるのか。常に見られ続け、いわば一つ一つの仕事もオーディションと捉えることもできます。
ですがそれは、アイドルという職業だけではないような気がします。毎月ノルマがある職種もあれば、日々の勤務態度を常に見られる職種もあり……。
更に言えば、人間関係もオーディションの要素を秘めているかもしれません。日頃の連絡態度。今日のデートはどうだったのか。会話が上手くいったかどうか。今度遊ぶのに誰を誘うのか?無意識の中で順位をつけ合い、選び続けているのは、オーディションに近しいものを感じます。
そう思うと、より「オーディション」というものが身近に感じるのではないでしょうか。仕事の面接にも近いですね。誰しもが抱いたことのある悩みや不安。オーディションを前にした5人がどのように乗り越えていくのか、その姿が少しでも皆さまの励みになれば幸いです!
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