本作は、これまでの横溝作品とは一味違った、“ホラー”や“オカルト”の要素を取り入れており、怨念の実在を説く映画独自のストーリー展開は、祟りの恐ろしさを見事に表現している。
また、野村監督による演出へのこだわりも見どころの一つ。例えば、それまで大人しい人柄だった女性が、急に刃物を振りかざした女般若になり追いかけ回すシーンや、辰弥の兄・久弥が頭に懐中電灯を巻いて、猟銃と日本刀で村人を殺害するシーンなどは、非常に印象的な映像に仕上がっている。
その他にも、日本中の鍾乳洞でロケを敢行し、それをつなぎ合わせた村の地下洞シーンや、落武者の惨殺シーンの再現なども迫力満点。普段は物語の中枢を担う名探偵・金田一耕助が、本作では“語り部”に徹している点も、他の作品とは一線を画す要素と言えるだろう。
※山崎努の崎は正しくは「たつさき」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)