作り手にも受け手にも愛される、“余韻”を生む俳優・仲野太賀【てれびのスキマ】

2024/10/26 07:00 配信

芸能一般 コラム

仲野太賀※2024年ザテレビジョン撮影

誇れるのは「出会い」だけ


2022年には「拾われた男」(NHK BSプレミアムほか)で主演。その際、自分の人生を振り返り、自分も「俺も拾われてばっかりの人生だな」と思った。

岩松了さんのワークショップのオーディションのチラシを拾って、受けに行ったことから始まり、たまたま近所に住んでいた石井裕也監督との縁もそうです。さらに人生初めてのオーディション会場の扉を開いたときにいたのが染谷将太だったり……。なんかそういう縁が、いまの僕のすべて繋がっているように感じるんです」(「マイナビニュース」2022年7月16日)

自分が誇れるのは「出会い」だけで「たくさんの方に出会っていろんな場面で手を差し伸べていただけて今日がある」(同)と言う。事実、彼は染谷ら筆頭に交友関係が幅広い。それは彼のオープンな性格と素直な好奇心があるから得たものだろう。

「そもそも映画とかドラマとか舞台とかエンターテインメントが大好きなんですよ。思春期のころからその虜になっている自分が変わらずに今もいて、それがすべてのような気もします。自分が受け取り手であるという認識がすごくあって、その視点っていつまでも揺らがないんです」(「QUI」2022年7月23日)。

そんな視点があるからこそ、作り手にも受け手にも愛されているに違いない。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2024年11月号