――9年ぶりに「民王」が復活ということで、続編決定のお知らせがあったときの率直な感想と、現在の心境をお聞かせください。
毎話誰かと入れ替わると聞いたときは「すげえな。面白れえな」と思ったんですけど、いざ取り組んでみたら、四苦八苦の連続で(笑)。だけど、だんだん感謝の気持ちの方が大きくなってきました。60歳過ぎて、こんなに面白くて変化に富んだ役なんて、そうもらえるものではないですからね。今は「大変」と「ありがとうございます」という両方の気持ちです。
――今回、入れ替わりの対象者は全国民です。入れ替わる相手の特徴やクセなどは毎話研究されるのでしょうか?
じつは毎回、監督やプロデューサーを含めて、入れ替わる方と本読みをやっているんです。そこできっかけを見つけていくので、普段ではやらない作業を足して取り組んでいますね。
――前作より9年経っていますが、あらためて泰山をどのように捉えて演じられていますか?
前回は泰山の状態でいる時間が少なく、泰山はほとんど(入れ替わる息子役だった)菅田将暉くんが演じていたんですよ(笑)。俺はずっと気弱な息子・翔くんをやっていたので、前作を見直して取り戻していきました。ただ、やっていると翔くんを思いだしてきちゃうので、それを消すことが大変でしたね。
――泰山の人として好きなところ、魅力的な部分を教えてください。
「乗り越えられない山はない」という人間性ですかね。きっと、自信とは違う彼の哲学なんでしょうけど、俺もそういう人間でありたいと思いますよ。
――彼から学ぶことも多いんですね。
一番学べます。だってそういう捉え方って素晴らしいじゃないですか。生きていく限り壁の連続なんだけど、そこで「大丈夫」と思える人は必ず乗り越えられると思うし、そこが泰山の一番好きなところです。
――撮影現場の雰囲気を教えてください。
前作から出演している金田明夫(武藤内閣の内閣官房長官・狩屋孝司役)さんが、ムードメーカーとなってやってくれています。そこに若手たちも乗っかってワイワイガヤガヤしていて、自分が集中したいときには、集中してまた戻ってきて…みたいな、自由にやれる空気になっていますね。金田さんも俺もそんなに威圧感を与えるタイプではないので(笑)、若手の子たちも「現場に来るのが楽しい」って言ってくれています。喜んでくれているのはうれしいですね。
――そうしたベテラン勢が盛り上げる中、泰山の書生・田中丸一郎太役の大橋和也さん、公設第一秘書・冴島優佳役のあのさんなど、若手キャストも奮闘されていますよね。
本当にみんな忙しいんですよ。あのちゃんは、曲を作って、レコーディングをして、タレント業もやって、モデルもやって、ドラマもやって…。一日を全力投球している感じ。大橋くんも、なにわ男子で全国ツアーをやって、今度はアジアツアーをやるんでしょ?それなのにみんな忙しさを感じさせず、現場で集中して、エネルギーをボンッと注いでくれる。すごく刺激になります。
――大橋さんの印象はいかがですか?
本当に優しい青年なんですよ。疲れを知らないし、へこたれないし、すごいなと思います。なにわ男子のリーダーなんですよね。やっぱり、リーダーだけあって、周りの気遣いもすごいし、できた青年だなと思いますね。
――あのさんの印象はいかがですか?
発想が面白いですよね。不思議でとっつきにくそうに見えるけど、俺はすごく話しやすいです。制作発表会見のときに「入れ替わるなら誰になってみたいですか?」と聞かれたので、「頭の中を覗いてみたいからあのちゃん」と答えたんですよ。そしたらあのちゃんが「エンケンさんはほとんどボクと一緒です」って(笑)。「そうなんだ!」と思ってびっくりしましたね。
――第1話では、ファーストシーズンに出演していた秘書・貝原茂平役の高橋一生さんがサプライズ出演、ナレーションは菅田将暉さんが担当されました。
忙しい中、菅田くんはナレーションで参加してくれるし、高橋くんも出てくれるし、出演が決まったと聞いたときは本当にうれしかったです。
――お二人が作品を愛してくれているからこそ、というのもあるのかもしれませんね。
そうですね。そういった気持ちがあったから「やる」と言ってくれたんだと思います。うれしいし、ありがたいですよね。
――TVerでは、初めて見る方、繰り返し見る方も多いと思います。特に注目してほしい第1話のシーンは?
みんなそれぞれ頑張っているし、いろんなキャラが登場するし、シーンというよりは全体ですかね。あと、第1話を見てくださった方には、第2、3話とご覧いただきたいです。
――そんな気になる第2話のゲストが曽田陵介さんです。
頑張って泰山を演じていましたね。まだ彼の芝居を見ていない部分もあるのですが、「楽しくてしょうがなかった」と言っていましたよ。ひとつのかたちがあって、そこにハマっていくのが面白いみたいで、泰山をやる人みんな喜んでやってくれるんですよ。これからのゲストも楽しんでやってくれるんじゃないですかね。
――(殺人犯かもしれないという役である)曽田さん側を演じていかがでしたか?
普通の青年役なので、どういうところで寄せていくのか。今のところ一番難しかったキャラクターです。多少デフォルメすることもあるけど、この青年に関しては変にデフォルメする話でもない。「心の動き」をテーマに、表面上は分からなくても、心の中では彼になれるよう意識して演じていました。第2話は青年の成長の話でもあるので、淡々と進む面白さがあります。第1話とはまたガラッと変わった魅力があると思いますね。
――本作をTVerでご覧になる方にメッセージをお願いします。
「なんだよ!」ってゲラゲラ笑いながら見られるドラマもそうないと思うんで、ツッコミながら見てほしいです(笑)。
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