続く第10話は「彼らの夏が終わるとき」。夏も終わり、ビーチに秋の気配が訪れる。盛況だった渚2号も今日を限りの店じまいとなった。広海と海都、春子も寂しさは隠せない。勝(マイク眞木)は、すっかり店じまいを終えた広海、海都をテントと食料持参で山へ連れ出す。勝にとっての大切な場所であり、滅多に人を連れてこない秘密基地に二人を招き、今夜は男だけで語り明かそうというのだ。
その頃、真琴は、置いてけぼりにされた事に怒り、進路相談のことで悩んでいた。親と一緒の三者面談、春子は、東京にいる慶子(田中好子)に来てもらえば良いと言う。春子の一言に後押しされた真琴は、慶子に電話して、一緒に面談に臨むことになった。そうとは知らない勝は“ダイヤモンド・ヘッド”に戻り、慶子の姿を見て驚く。それが真琴の決めたことと知り、複雑な思いに…。
第9・10話共に、春子と息子・春樹、真琴と母・慶子という異なる2組の親子の物語。事情があって一緒に暮らせない親子が、普段言えないけど我慢している気持ちだったり本音を吐露するシーンは涙を誘う。春子の気持ちを想像して、本人不在のところで広海と海都がにらみ合いのケンカがぼっ発しそうになるシーンも「他人のことでこんな本気になるほど、彼らの関係が深くなっているのか」と分かり、胸が熱くなった。互いを思いやれる人が集まれば、その人が長年悩んでいることの突破口が見つかったりするものだ。
真琴の母・慶子役で、2011年4月21日に亡くなった田中好子さんが出演しているのも寂しさを感じる。陽気なひと夏のチャラついたストーリーかと思いきや、実は人間の細やかな感情の動きを描いている、往年のヒット作である。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)