文芸作家としても活動するNMB48の安部若菜の2冊目の小説『私の居場所はここじゃない』が12月6日(金)に発売することが決定した。安部の1作目の小説『アイドル失格』は全12話で実写ドラマされ、「コンプティーク」でコミカライズも進行中。第2作『私の居場所はここじゃない』発売までの期間、NMB48の主力メンバーとして活動する傍ら小説執筆にも精力的に挑戦する安部若菜の作家としての努力やアイドル活動との両立について綴るエッセイをお送りする。第6回はアイドル活動とは切り離せない「SNS」について思うことを綴ります。
アイドルをしていて切り離せないものの一つに、SNSがあります。私もX、Instagram、YouTube、その他ファンクラブなど色々なSNSをしています。
12月に発売を控える小説『私の居場所はここじゃない』の執筆作業も大分終わりに近づいてきました。2度目の校正作業が終わり、原稿が手元を離れた今、あとは特典物などの作業をしながら完成を待つのみです。表紙や帯などの打ち合わせも終えたので、公開出来る日はまだかと待ち遠しくてたまりません。また書籍情報もSNSで発信いたしますね。
告知も出来て便利なSNS。でも切り離せないものといえば、他者からの反応や評価、そしてアンチコメント。アイドルを始めて何年経っても、批判(ほとんどの場合が単なる悪口)を見ると、数日間、数か月間にわたりその言葉が頭の中をぐるぐるします。
そんなの気にしなくていい、と誰しもが言います。私もそのことで悩んでいる人がいたら同じことを言うでしょう。そうはいかないから厄介なのですが…。
100件の賞賛よりも強烈な悪影響をもたらす1件の悪口。それを上書きするには、数えきれない賞賛でなく、結局自分自身の肯定しかないのだろうなと最近思うようになりました。
これは、SNSに限らず、例えば会社や学校での評価も含みます。
決して褒め言葉が無駄ということではありません。自分自身の肯定を作るために、他からの賞賛が土台となってくれたり、壊れそうな時に誰かの言葉で何とか心を繋ぎ止めたりすることもあるでしょう。
でも、他人からの評価に頼っていたらいつまでも安定はしません。
褒められたくて認められたくて一生懸命やったのに、思うように評価されなかったら、全てがどうでもいいような思いに陥ってしまったり。
「私の居場所はここじゃない」の登場人物の冬真も、そんな一面を持ち合わせた少年です。
それでも、誰かに認められたい。知ってほしい。その思いを手軽に満たしてくれたり、よりドン底に突き落としてくるSNS。私も様々なSNSで仕事のことなどを発信していますが、情報の溢れかえる現代に疲れてしまう日も少なくありません。
何よりSNSを見ていて1番疲れてしまうのは、他人と比べてしまうことです。上を見れば数十万、数百万とフォロワーがいるような人はざらにいて、自分なんか…。と卑屈になるのも仕方ない気がします。SNSは卑屈製造マシーンかもしれません。
「何者かにならないといけない」風潮が強まった気がするのも、SNSが一因ではないでしょうか。自分の食い扶持を稼ぐだけでも十分すごいはずなのに、キラキラと目立つ人が身近になったことで、急速に“普通”が形を変えている。
次作の小説の登場人物たちも、そんな現代を生き、何かになりたいと切に願う高校生です。
大きな夢を語れば馬鹿にされ、努力しなければ見下され、自由気ままに夢を見ることも難しくなった現代において、それでも懸命に夢と向き合う彼らはどんな風に映るのでしょうか。
もちろんSNSの恩恵は多大ですし、誰でも発信出来るようになったことのメリットも沢山あって、無くなったら困るのは間違いありません。当たり前になった現代だからこそ、きちんと用法を守って上手に使っていきたいものです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)