岡田演じる氷室。第1話は、まだ未来を仲間に誘い込む段階ではあるが、つかみどころがない雰囲気が、まさに詐欺師だった。
2006年にデビューし、翌年に公開の「天然コケッコー」でメインキャストに抜てきされ、初めての映画撮影に挑んだ岡田。演技は粗削りな面もあったものの、原作のくらもちふさこによるコミックから抜け出たような美しい佇まいが目を引いた。
そこから、わずか数年後の2010年に強烈な印象を放った。映画「告白」で熱血教師に憧れるも空回りしてKY発言を連発する教師、その3カ月後に公開された映画「悪人」では事件の鍵を握りつつ、超性格が悪い大学生を。いずれも出ずっぱりなキャラクターというわけではないが、岡田の演じた役といえば?の問いに名前が挙がる2作品でもある。
美しいルックスという大きな武器を持ちながら、それに甘んじずチャレンジングな役回りもこなして培った演技力。ドラマ「昭和元禄落語心中」(2018年、NHK総合)では落語の名人の10代から晩年までを表現して見る者を圧倒したかと思えば、映画「伊藤くん A to E」(2018年)などのようなダメ男やドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年、フジテレビ系)でのエリート弁護士だけどクセが強いひねくれ者、映画「1秒先の彼」(2023年)などの正統派ラブストーリーと多彩な作品、役柄で魅了する。
そんな中、今回の天才詐欺師は、その表情の裏に何を潜ませているのかを想像させる余韻を残しているようにも見えた。第1話からすでに岡田が醸し出す存在感に思わずグッと心をつかまれた。全3話と短いが、映画本編への序章でもあり、その後の展開に期待が高まる。
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◆文=ザテレビジョンドラマ部
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