――「Season 2」では原作者監修の元、オリジナル要素も多分に含む“天狗の末裔”たちのひと夏の物語を描いていますが、どのようにストーリーを展開していくのか、かなり話し合われたのでは?
原作でオンの一年を描き切る前に、「Season1」でドラマの方がオリジナルの結末を迎え、原作を追い越してしまっていたので、ここから先のストーリーというのはない状態で脚本を作り始めました。
ですが大前提として、縦軸に関わらないところで原作の要素を生かせるところは最大限に生かしたいと思っていました。8月には撮影に入ることもあり、7月には脚本を上げておきたいと考えていたので、それまでに連載している内容を生かしながら、縦軸として何を描くのか決めなければいけないというのが、一番難しかったですね。
――テーマの一つである「生活と労働」を選んだ理由や、どういった部分を大切にしながら、ドラマオリジナルの要素を選定していったのでしょうか?
脚本家さんたちと「どのようなストーリーにしよう」というお話をしていく中で、監督の長島(翔)さんが「“ひと夏の少年との出会い”という部分にフォーカスしたらどうか?」と提案してくださって。
さらに話し合いを重ねる中で、現代社会において、家族であっても、それぞれがそれぞれの人生を生きているし、流れている時間が違う中で共同生活を送っているけれど、それぞれが違う事情を抱えているわけです。
兄・基の影響を受けたオンは、1年で里に戻ってきて、丁寧な暮らしに対して半ば憧れを持ちながら、やろうとしてはみるものの、理想と現実にはギャップがあるもので…。母・一乃もオンの気持ちに応えたいという思いはあるものの、お互いの折り合いのつかなさみたいなものが、人生経験の少ないオンからしてみると納得いかないんですよね。
とはいえ、生きるにはお金も稼がなきゃいけないし、それは簡単なことじゃない。そこで、人はそれぞれの事情を抱えて生きているということを、基との生活の中でオンが学んでいくという部分を今回の縦軸にしようと決めたんです。
――「Season1」では丁寧な暮らしを送る基やオンの生活を覗き見しながら、ただただ癒やされていたのですが、「Season2」では“名もなき労働”をしながら生きる基の姿を見て、どこか親近感を感じました。
実はそのバランスをすごく大切にしていて。脚本家チームに女性が二人いるということも大きいと思っています。岨手(由貴子)さんと、天野(千尋)さんはお子さんを育てながら映画を撮られたり、脚本を書かれたりと、仕事と子育てのバランスを常に考え、そして苦労されています。
家事って、ある意味“名もなき労働”的な側面が大きいじゃないですか。家事に対して対価を支払われているわけではないけれど、誰かがしないと絶対に困る仕事であるわけで。劇中だと、基が森の木を切ったり、おばあちゃんの家の草を刈ったり、川の掃除をしたりしているからこそ、村の人たちとの信頼関係が築けていると思うんです。
それに加えて、土地の管理だとか、野菜を売ったりして、対価を得ながら基も生きているんだということを見せるということが、オンにとっても大切なことで。お母さんは仕事を優先してオンをないがしろにしていたけど、お母さんにも事情があると伝えるための積み重ねとして大切に描くようにしています。
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