――声優として役を演じることの醍醐味はどんなところだと思いますか。
大塚:日常の自分から逃げられるところじゃないですかね。普段、自分がやるべきではないようなことも、役の上では取り外せるんですよ。「役だからしょうがない」という大義名分が、どこかで解放に繋がっているように思います。
相葉:僕はお芝居を学校で習ったわけではなく、いろんな現場でいろんな方々から教えてもらったもので積み上げてきました。台本に向かって1人で役作りをしている時は、苦しいんですけど、楽しい。作ったものを持っていったら「この方向じゃない」と言われ、それを持ち帰ってまたやり直したりする。そうやってキャラクターを構築していく時間が楽しいです。
――体を使って演技をする俳優のお仕事と今回のような声のお仕事とで、演技をする上での違いはどういったところにあるのでしょうか。
相葉:大きくは変わらないんですが、画の秒数が決まっているので、漏れちゃったら次のカットに行ってしまう、という技術的な難しさはすごくあります。体の動きやアクションを封じられて、「この声じゃ伝わらないんだ」という難しさも感じますし、声優さんたちの技術はすごいなと改めて思いました。声のお仕事が続いているのは本当にたまたまですよ。
大塚:例えば、収録を半日でやらなくてはならなかったりして、スパンが短いんです。だから役を作り込んで、みんなして「自分はこうやってみたい」ということをやっていると終わらなくなってしまう。許されないんです。声優をやる場合には「合わせる」という技術も必要になってきますが、かといってそればかりしていると、「好きにやっていいよ」と言われた時、手も足も出なくなっちゃったりするケースもあるので、自分を見失わないように心掛けています。気持ちを集中させて、「撮影期間はずっとその役の気持ちになる」という役者さんもいますが、それが許されないスパンで僕らの仕事は回転していくので、“やっつけ”的になることがないように意識しなくてはいけないと思います。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)