吉宗(松平健)の治世となってから20余年を経た江戸の町。享保の大飢饉(ききん)をきっかけに不況に苦しむ民を救うため、日々対策に追われている吉宗だが、還暦を控えて後継問題にも頭を悩ませていた。吉宗には3人の息子がいたが、嫡男の家重(西畑大吾)は病により、右腕が動かず、顔にもこわばりがあってうまく言葉を話す事ができない。それゆえ、城内では「次男の宗武(駒木根葵汰)こそ次期将軍にふさわしい」と推す声が少なからず上がっていた。
そんな中、久しぶりに“新さん”として町に出た吉宗は、材木商の娘・おきぬ(藤田爽子)が人買いに絡まれているところに遭遇。すぐさま助けに入ったところ、洋剣のレイピアを左腕で華麗に操る謎の男が助太刀に現れた。吉宗は、べらんめえ口調で商家の三男坊“徳長福太郎”を名乗る彼が家重である事に気付くが、洋剣を使いこなし、流ちょうに江戸言葉を話す息子に、何が起こったのかと驚きを隠せなかった。
やがて、吉宗と家重の間に横たわる深く切ない確執が思いもよらぬ波乱を生み、巨大な陰謀が将軍家に襲いかかる。そして、その混乱に乗じて、尾張藩藩主・徳川宗春(GACKT)の野心が牙をむく。