受賞作続くカンテレドラマ、作品づくりで大切にしていることを「アンメット」米田孝Pと「春になったら」岡光寛子Pが明かす

2024/12/21 12:00 配信

ドラマ インタビュー 独占

「春になったら」キービジュアル(C)カンテレ

ドラマ作りで大切にしていること


――ドラマ作りにおいて一番大切にしていることを教えてください。

岡光:チーム戦であり、総合芸術であることですね。さまざまな部署のプロフェッショナルの集まりで、自分が頭の中で想像していたものの何十倍も何百倍も素敵な作品に昇華していくものなので、キャストやスタッフにリスペクトの気持ちを持ってパフォーマンスを最大化することを大切にしています。

米田:全く同じ意見です。だからこそ、プロデューサーは根幹に揺るぎないものを持っていないとダメだということも同時に思います。周りの意見に耳を貸さないという意味では全くなく、自分の中で表現したいものはブレずに持っていないと、みんなが迷子になってしまうと思うので。先輩たちから受け継がれてきたカンテレドラマの大切にしてることの一つだと思います。

――「アンメット」は原作もの、「春になったら」はオリジナルですが、どちらが得意などありますか?

米田:ドラマ作りをやっていると、やっぱりオリジナルにチャレンジしたいっていう気持ちは常にありますが、僕は結構原作ものも好きなんです。原作が持っている根っこにあるメッセージを大切にしながらドラマとしてのオリジナリティーを出したり、映像としての味付けをしていく作業がとても楽しいです。「アンメット」でいうと、例えば大迫という役は原作とはガラッとイメージを変えさせてもらって、そこにピッタリの井浦新さんに演じていただいて、という感じでカスタマイズしていく作業は面白いですね。

岡光:どちらにもそれぞれの良さがあると思います。私はいつも自分の半径5メートル以内の出来事に着想を得ることが多いので、オリジナルの企画を「最近こういうことがあって」「こんなことが気になっていて」と信頼するクリエイターと喋っているうちに0が1になって、仲間が増えて1が100になっていくっていう過程は本当面白いなって思います。やりがいがあります。

「アンメット ある脳外科医の日記」キービジュアル(C)カンテレ


今後作ってみたい作品は「原爆にまつわるドラマ」「誰もが見ているようなドラマ」


――では、今後、やりたい企画があれば教えてください。

岡光:私は常々言っていることなんですけど、広島出身の被爆三世なので、原爆にまつわるドラマをやりたいと思っています。「さとうきび畑の唄」(2003年、TBS系)という明石家さんまさん主演のドラマに感銘を受けまして。戦争と今を生きるということのリンクが本当に素晴らしい作品でした。今はなかなか民放で戦争もののドラマをやらなくなってきていますが、風化させずに自分たちの世代でもきちんとドラマというエンタメを通して語り継いでいきたいと思い続けています。

米田:僕は、今エンタメの状況が色々と変わってきていて、地上波ドラマを巡る環境も大きく変わってきている時代だからこそ、かつて月曜日は月9を見るために街からOLが消えたという伝説が復活するような、老若男女誰もがそのドラマを見ているようなドラマを作ることに憧れます。今は「モンスター」をぜひ、多くの方に見ていただきたいです。

――お二人は「モンスター」をどのように見られていますか?

米田:面白いですね!チームの最ベテランの三宅監督と最若手の加藤Pが組んでやっているのがとても良いなと思いますし、どちらの良さも出ていると思います。カンテレっぽさがあって楽しいドラマに仕上がっていると感じます。

岡光:それこそカンテレのチームでやっているからこそできるドラマなのかなと思います。毎週の放送が楽しみになるテレビドラマとしての良さが示せていると思いますし、趣里さんがとてもキュートで魅力的ですよね。最終回まで楽しんで見ていただけたら幸いです。

◆取材・文=入江奈々

「モンスター」より(左から)趣里、ジェシー(C)カンテレ