【テレビの開拓者たち / 石川淳一】目指すのは「作り手の気概が感じられる作品」

2017/10/23 06:00 配信

芸能一般

「リーガルハイ」シリーズ(2012年ほかフジ系)や「フラジャイル」(2016年フジ系)など、話題のドラマを多数手掛けてきた共同テレビのドラマディレクター・石川淳一氏。「リーガルハイ」、「デート~恋とはどんなものかしら~」(2015年フジ系)、そして彼の映画監督デビュー作「エイプリルフールズ」(2015年)に続き、人気脚本家・古沢良太氏との強力タッグでおくる最新映画「ミックス。」が公開されたばかりの石川監督が、自身のキャリアを振り返りながら、演出家としてのこだわりや今後の展望を語ってくれた。

いしかわ・じゅんいち=1971年12月31日生まれ、山梨県出身


「任侠ヘルパー」は実はかなりハードな内容。すごく思い入れのある作品です


――石川監督が、ドラマの作り手として初めて携わった作品は?

「スケジュール管理の仕事を担当しながら、ちょこちょこ演出もさせてもらってはいたんですが、ほぼチーフ監督という立場で初めてやらせてもらったのは『嬢王』(2005年テレビ東京系)ですね。テレビ東京の深夜ドラマ枠(「ドラマ24」)の最初の作品だったので、割と何でもやれる土壌があって。共同テレビがやる以上、単純なお色気番組ではなくドラマ部分も重視していこうという流れもありつつ、セクシー路線も若さに任せて(笑)、けっこうギリギリまで攻めてましたね。すごく楽しんでやってました」

――その後、数々のテレビドラマを手掛けられましたが、ターニングポイントとなった作品は?

「最近だと、やはり『リーガルハイ』ですね。あれは、いろんな巡り合わせでうまくいったドラマだと思うんです。古沢良太さんの台本ももちろん面白かったし、僕自身も、スピード感のある演出を極めたいと思っていた時期で。堺雅人さんも、あの時期だったからこそ、古美門研介というキャラクターを作ることができたんじゃないかと思うんですよ。違うタイミングだったら、古美門は全然別のキャラクターになっていたような気がします。

また、ターニングポイントというのとはちょっと違うかもしれませんが、個人的に忘れがたいのが『任侠ヘルパー』(2009年フジ系)。企画の段階ではコメディーということだったので、当時『メイちゃんの執事』(2009年フジ系)を撮っていたこともあって、コメディーの演出ができるディレクターとして僕も参加することになった。ところが、いざふたを開けてみたら、チーフ監督の西谷弘さんが撮った第1話が、なかなかハードな内容で。僕も実はハードなものはけっこう好きなので、かなり気合を入れて臨みました。すごく思い入れのある作品ですね」

――その一方で、コメディーが得意だというご自覚もあるわけですよね?

「いや、“できる”というだけで、決して“得意”だとは思っていません。コメディーで100点満点だと思えるものを作るのは至難の業で、こうしたら絶対に笑ってもらえるという演出法なんてものはないですからね。かと思えば、自分ではコメディーの匂いが感じ取れるくらいのつもりで撮ったシーンを、面白がってくれてる人がいたりして。コメディーに限ったことではないのかもしれませんが、万人に受けるものを作るのって本当に難しいんですよね」

――石川監督が影響を受けたコメディー作品はありますか?

「助監督を務めていた『ショムニ』(1998年ほかフジ系)からは、相当影響を受けていると思います。『あのとき、こんな感じでやってたな』なんて、当時の現場を思い出して参考にさせてもらったり、『今だったら、ここをもうちょっと進化させて…』という風に、そこにオリジナルのアイデアを取り入れたり。いずれにしろ、『ショムニ』の経験がベースになっている感じはありますね」

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