破たん寸前に追い込まれた創業100年の老舗足袋業者・こはぜ屋がランニングシューズ「陸王」の開発から再生していくさまを描く、池井戸潤原作の日曜劇場「陸王」(TBS系)。
11月5日(日)放送の第3話ではついに、こはぜ屋社長・宮沢紘一(役所広司)と陸上競技部員・茂木(竹内涼真)が対面。物語の重要人物を演じる竹内に、ドラマの裏話や見どころを聞いた。
──まずは放送間近の第3話について、茂木裕人の見どころを教えていただけますか。
役所広司さん演じる宮沢紘一社長と茂木が対面して、宮沢社長が「あなたと一緒に走りたい。サポートさせてください」と初めて直接声を掛けるんですが、そのときの宮沢社長の真っすぐな目と茂木に対する姿勢にぜひ注目していただきたいです。ケガでアトランティス社から見限られた茂木にとってはその言葉は本当に救いだし、しかもその暖かい目で見つめられると、「この人は絶対に自分を見捨てない」と信じたくなる。宮沢社長の誠実な口調が、すごく心に響くんですよ。だけど、こはぜ屋や陸王には実績がない。本当にこのシューズで、自分は結果を出せるのか…。応援してくれることはすごくうれしいけれど、その半面でまだ半信半疑になっているという迷いや焦りを意識して芝居しました。
──"実績"というのは、こはぜ屋を苦しめるキーワードでもありますね。
すごく重い言葉ですよね。どの世界でもプロというのは実績が何よりも重要で…。だからある意味、僕はアトランティス社の姿勢は冷徹ではあるけど、間違ってはいないと思うんです。池井戸作品と言えば、気持ちいいくらいの悪役が登場するのも面白さの一つで、今回はアトランティス社がその役回りだし、視聴者の方はみんなこはぜ屋を応援しながら見るとは思うんですが、単純に正義と悪で分けられないのがこの作品の深いところだと思います。
──役所さんとの初絡みはいかがでしたか?
役所さんとはシーンでご一緒する前から、ドラマの番宣をしたりとお会いする機会が多くて、宮沢社長のように若手に対してもすごくフラットな関係でいてくださるので、芝居でも思いっきりぶつかっていこうという気持ちで臨めました。そういったところも含めて、従業員と同じ目線でシューズ作りに挑む宮沢社長と役所さんの僕らへの接し方がすごく重なるんです。
──茂木の登場シーンでは第1話の豊橋国際マラソンに始まり、リアルなスポーツ描写も見どころです。サッカー選手としての経歴がある竹内さんですが、走るのはもともと得意でしたか?
いや、サッカーと長距離は全然別物で、どちらかというと苦手な方でした。3年前にトレイルランをやっている友だちに誘われて、15時間くらいかけて100km走ったことがあるんですが、キツかったのを覚えてます(苦笑)。
──かなり走れるじゃないですか!
ただ、基本的にはテレビで駅伝やマラソンを見るくらいの知識しかなかったですし、この作品を通して初めてこの競技の奥深さに触れています。それこそ走行フォームも自分が意識している以上にシューズに左右されたりと、個人スポーツではあるけど一人で走ってるわけじゃないというのも魅力で。僕もスポーツというものには思い入れがあるので、このドラマをきっかけに自分もスポーツに関わりたいと思う人がいたらすごくうれしいなと思います。そのためにもリアルを追求するのは絶対に欠かせないことで、カメラが回っていないところでもダイワ食品陸上部のメンバーとしょっちゅう走り込みをしています。
──ドラマの公式SNSにもオフショットが上がっていますが、ダイワ食品陸上部はとても結束力がありそうですね。
そうなんです。一緒にスポーツをやってると距離が縮まるのも早くて、実際の時間の何十倍も共にしている関係になれるのかなと。特に全員でランニングするシーンは、「どういう目的でこの練習をしているのか」などをみんなで話し合って共有してから撮影に入ったりと、コミュニケーションがすごく取れていると思います。誰かが疲労が溜まってるなと気付くと、「ストレッチし合おう」と自然と声を掛け合ったりと、お互いのコンディションにも普通の共演者以上に気を配り合ってます。体力的にキツいシーンが続いたときは、「よーし、頑張っていこう!」って盛り上がったりと、そこは男だらけの良さだなって思いますね。
──本当に部活みたいですね!
ただ、仲は良くてもワチャワチャやってるわけではないんです。特にこれからどんどん寒くなって体も固まりがちなので、準備運動なしにいきなり走るシーンに入るのはすごく危険で。緊張感がなくなるとそれこそケガにもつながりかねないし、何より作品に対してみんな真剣なので、いい意味でのピシッとした空気感も心地いいんですよ。
──宮沢社長の息子である大地を演じる山崎賢人さんとの共演も楽しみなところですが、本格的な絡みはこれからでしょうか。
実際に大地と茂木が顔を合わせるのは第5話(11月19日・日放送)からです。僕自身、茂木との出会いによって大地にどんな変化があるのかがすごく楽しみにしていて、同世代の視聴者の方にも一番見てもらいたいところなんですよね。もちろん原作や台本は読んで知っているけど、賢人くんが演じる大地がどんな風になっていくのかなと。よく「ライバル意識はありますか?」って聞かれるんですけど、僕はあまりそういうことを意識したことがないんですよ。もちろんオーディションで役をつかみに行くときはライバルなんですけど、いざ共演すると純粋に同じ作品を作っていく仲間として仲良くなるし、尊敬もできるし、という感じで。
──ドラマスタート前に出演されたバラエティー番組でも、お二人のイチャイチャぶりが話題になりましたね(笑)
本当、普段もあのまんまです。ノリや笑いのツボが似ていて、ずっとたわいもない話で盛り上がっているという(笑)。本当に良い関係性が出来上がっている分、初対面シーンでは初めましての距離感をちゃんと意識して臨まなければと思ってます。一方、大地のほうは茂木のことをずっとファンのように見てきたわけなので、賢人くんが大地としてどんな芝居で茂木と対面するのか。撮影はこれからなんですが、直近ではそのシーンが一番楽しみですね。
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